起業家はおおまかに2つのタイプが存在する
これまで様々な起業家予備軍の方から相談を受けてきましたが、起業を目指す40代前後の会社員さんは、おおまかに2つの動機で起業相談を持ちかけてくれます。
1つ目は、組織に縛られないで自分で自由に働くために、起業したいタイプです。
実は、私の場合はこれでした。とにかく会社に縛られるのが嫌で堪りませんでした。
独立してから、辞めた会社にセミナー講師として呼ばれたとき、かつての先輩や同僚から「お前は会社を辞めて本当に良かったな、お前ほど組織に向いていない奴はいないからな」と言われました。
2つ目は、自分のやりたいことで働きたいので、起業したいというタイプです。
今まで家族のために一生懸命働いてきた。
会社で嫌なことがあっても、家族のためだと思って我慢してきた。
子供も独立したので、これからは自分にために働きたい
という意見を持つのが、このタイプです。
家族のために働くことは素晴らしいことですが、このタイプの人の胸の奥にある気持ちは、確かに理解できるものがあります。
この2つのタイプで起業を検討する人は、どちらかのタイプに分かれるのではなく、両方の要素を持っているケースが多く見られます。
更に、この2つのタイプには、双方に落とし穴が存在するため、これをしっかり意識しないと穴にハマってしまう恐れがあります。
組織に縛られたくない人が起業時に陥るワナ
組織に縛られるのが嫌で起業した私の場合、組織からフリーになれたかというと、決してそんなことはありません。
クライアントは、行政や商工会・商工会議所、企業という組織です。
したがって、クライアントである組織の論理には従わなければなりませんでした。
打合せや会議に遅刻なんてもってのほかですし、納期に遅れれば、次からは仕事は来ないと覚悟しなければなりません。
この点は、会社員時代より厳しいと言えるかも知れません。
しかし、毎朝満員電車で通勤しなければならないことはなくなりますし、嫌な上司と付き合う必要もありません。
この点は、私自身独立して良かったと思っています。
会社という組織に縛られないということは、ある意味では自由気儘に毎日を過ごすことができます。
「今日はやる気がしないから、その仕事は明日やればいいか」と先延ばししても誰にも怒られません。
ただし、こんな気持ちで毎日を過ごすと自堕落な日々を送ることにつながってしまいます。
起業する前よりなお一層、強い気持ちで自分を律することが必要になるのです。
起業前の人にこんなことを言うと「そんなことはあり得ないだろう」という反応が大半ですが、人間は弱い存在、どうしても楽な方に流れていってしまいます。
自分のやりたいことで起業する人が陥るワナ
「今まで家族のために嫌なことがあっても頑張ってきた。これからは起業して自分のやりたいことをやるぞ!」
けれど、はて?自分の本当にやりたいとは何だろうと考えると、どツボにはまり困ってしまう人も多いようです。
私自身、「好きなこと、本当にやりたいことで起業しましょう。」と多くの起業家に言い続けてきました。
そうすれば、時間を忘れて没頭できて、毎日が楽しく、仕事をしていても疲れない、と訴えてきました。
でも、本当にやりたいことが分からない、自分はそもそも何をするためにこの世に生まれてきたのだろうか?と考える、この矛盾は何なのでしょうか?
答えは明快で、日々の生活の中で、自分自身のことを深く考える機会がなく今まで来ていたのです。
だからこそ、いざとなると、「何をやりたいのかわからない」悩みが生まれてくるのです。
自分のやりたいことは自分の胸の内側に聞け
あなたの本当にやりたいことや、あなたの本質は、あなたの過去に隠されています。
幼かった頃から今までの自分の人生を振り返ってみてください。
子供の頃、中高生や大学生の時、あなたは何に夢中になっていましたか?
なぜ、それに夢中だったのですか?
今までで一番嬉しかったこと、ワクワクしたことは何でしたか?
なぜ、嬉しかったのですか?ワクワクしたのですか?
そこにあなたの本当にやりたいこと、あなたの才能、あなたの本質は隠されているのです。
最後に一つ、気を付けなければならないことがあります。
Wont to(やりたいこと)と、Have to (やらなければならないこと)は、決して混同してはなりません。
Have to は、自分ではない世間や他人の価値観で動くということです。
起業を目指すのであれば、あくまで自分のWont to、つまり自分の価値観で動くことが重要です。