ファクタリングを利用する際は、ファクタリング業者によって審査が行われます。
銀行などの金融機関から融資を受けるときほどの厳しさはありませんが、ポイントを把握しておかないとファクタリングの審査で落とされる可能性もあります。
本記事では、ファクタリングの審査のポイントを項目ごとに解説していきます。
ファクタリングの審査とは?
ファクタリングは、売掛金などの債権を買い取って現金化するサービスです。
金融機関による融資とはそもそも性格が異なるもので、適用されるルールも異なります。
ファクタリング会社にとって最も重要なのは「売掛金が回収できるか」という点です。売掛金が回収できないと、ファクタリング会社の損失となってしまうため、ファクタリングでも審査が行われるのです。
ファクタリングの審査ポイント
ファクタリングの審査ポイントは以下の4つです。
- 売掛先の信用力
- 売掛金の支払い期限
- 利用者の誠実さ
- 譲渡登記の可否
売掛先の信用力
売掛金を買い取ったのに、それを回収できなくては元も子もないためです。多少の赤字であればそこまで嫌がられませんが、倒産寸前の赤字状態だと買い取りを拒否することもあります。
また、売掛先の信用力審査では「口座が差し押さえられていないか」という点もポイントになります。差し押さえが行われている場合、ファクタリング会社が売掛金を回収するのが困難になるためです。
売掛先の状態によっては、ファクタリングで使用する売掛債権すべてが買い取り可能とは限らないので注意してください。
売掛金の支払い期限
ファクタリング会社はなるべく早く売掛金を回収したいと考えます。というのも、売掛金を回収しないとファクタリング会社に残るのは手数料収入のみとなってしまうからです。
売掛金の支払い期限が数か月後など、長期間に渡る場合はファクタリング対象外になる可能性があります。
利用者の誠実さ
ファクタリング会社に対して一方的に買い取りを迫ったり、横柄な態度をとったりするとファクタリングの利用を断られることもあります。
これはファクタリングに限ったことではありませんが、利用者側は「自分が神様」とは思わずに、誠実に振る舞うことが信頼関係構築につながります。
譲渡登記の可否
譲渡登記とは、売掛債権を譲渡された際に法務局へ申請して記録することです。
譲渡登記を行うことで、ファクタリング会社は自分の債権を法的に主張することが可能になります。譲渡登記を行うと売掛債権を回収しやすくなるため、手数料が安くなるメリットがあります。
ただし、譲渡登記をしたという公開情報が残ることになり、将来銀行から融資を受ける際にファクタリングの利用が発覚して、融資が拒否される可能性があります。
ファクタリング会社によっては、譲渡登記を必須条件としているところもあるので、利用前に確認しておくようにしましょう。
すべての売掛債権がファクタリングできるとは限らない
ファクタリングを行うときに注意して欲しいのが「すべての売掛債権がファクタリングできるとは限らない」という点です。
まず、ファクタリングが可能な売掛債権が下記のものになります。
- 製品売買代金
- 請負代金
- サービス代金
- 調剤報酬
- 診療報酬
- 介護報酬
- 運送料、輸送量
反対にファクタリングで利用できない売掛債権は以下の通りです。
- 譲渡禁止特約付き債券
- 個人に対する債権
- 下請代金支払遅延防止法に規定される債権
- 売掛先の支払い能力不足が認められる債権
譲渡禁止特約付き債券とは、債権の特約として、他人に債権を渡すことを禁じた債権となります。この特約があると、ファクタリング会社は勝手に債権を買い取ることができません。
下請代金支払遅延防止法(通称:下請法)とは、下請業者の利益を確保して、下請取引を適正化するために制定された法律です。下請法では「電子記録債権」の利用方針を示しています。ファクタリングでは、この電子記録債権を利用することができないので注意してください。
ファクタリングの審査に必要な書類
ファクタリングの審査ポイントをクリアするために、入念な書類の準備は非常に大切になります。
ファクタリング審査で必要な書類は下記のものになります。
- 本人確認書類(免許証、パスポートなど)
- 請求書
- 取引先との基本契約書
- 利用している銀行の通帳
この中で特に大切になのが「請求書」「取引先との基本契約書」です。ファクタリング会社は、売掛先の信用力、売掛金の支払期日を確認するために、上記2つの書類を入念にチェックします。
都合の悪い情報があるからといって、書類の不正を行うことは厳禁ですしょるいの。不正が発覚するとファクタリングの利用ができなくなるだけでなく、刑事案件になることもあります。
業者によって重視ポイントに差がある
ファクタリング審査で重要になるポイントは前述の4つになりますが、業者によってどのポイントを重視するか、差が生じてきます。売掛先の信用度が低くても、利用者の人格(利用実績が豊富など)でファクタリングを行ってくれることもあります。
カードローンやクレジットカードは、一気に申し込みを行うとブラックリスト候補として警戒されてしまい、審査が通りづらくなりますが、ファクタリングの場合はそのような心配はありません。
ファクタリングを複数の業者に申し込んでも情報は共有されないためです。
1社にファクタリングを申し込んで、すぐに利用してしまうのではなく、複数のファクタリング業者を比較して一番お得な業者を使うようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ファクタリングの審査ポイントをおさえれば、円滑にファクタリングを利用することができます。
必要書類など、あらかじめ必要と分かっているものは、ファクタリング検討の段階から先に用意しておくと楽になりますよ。
ファクタリングを上手に使って、資金繰りの負担を減らしていきましょう。