AEDとは、心臓の状態を判断して、電気ショックが必要かどうかを自動的に教えてくれ、心室細動を止めて心臓を正しいリズムに戻してくれる機械です。心肺停止に陥った人は、1分経過する毎に7〜8%ずつ生存率が少なくなってしまいます。まさかの時に備えたAED設置や、AEDの使い方についての講習を受けることは賢明です。
貴方の職場にAEDは設置されていますか?
突然の質問ですが、貴方の職場に「AED」は設置されていますか?
AEDとは、自動体外式除細動器のことを言います。
- A:Automated(自動化された)
- E:External(体外式の)
- D:Defibrillator(除細動器)
の略がAEDです。
AEDは、心臓の状態を判断して、電気ショックが必要かどうかを自動的に教えてくれ、心室細動を止めて心臓を正しいリズムに戻してくれる機械です。
厚生労働省は、従業員の数が多い企業にAEDの設置を推奨しています。※
そこで本稿では、企業の救命事例も交えながら、緊急事態が起きたときのために、AEDの重要性をご紹介します。
AEDの有無が従業員の生存率に大きな差を生む
まず最初に、AEDの設置は企業にとって、「義務」ではなく、国によって「推奨」されている状態です。
厚生労働省が出した「自動体外式除細動器(AED)の適正配置に関するガイドライン」によると、特に従業員の人数が多い、あるいは年齢層が高い企業では、心停止のリスクが高いため、AEDの設置が「必至と考えられる」という言葉で推奨されています。※
生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防は従業員の自助努力でカバーできることですが、突然の心停止は防ぐことができません。
もしも社内で誰かがいきなり心停止の状態となった場合、それから1分を経る毎に生存率は7〜8%下がり、10分以上何もしなかった場合、人命救助はほぼ難しいという統計もあります。
更に現在の日本では、救急車の現場到着まで、通報から平均8分も掛かっています。これでは、救える命も救えないというのが現状なのです。
このような状況から従業員を救うのがAEDであり、2010年の統計によると、心原性心停止に対して現場AEDが使われた667件のうち、何と45%が救命されています。※2
実際に、AEDによって命が助かった事例はたくさんありますが、ここでは皆さんも御存知の、パナソニックグループの事例をご紹介したいと思います。
工場で働く43歳の男性社員が突然、職場で崩れるように倒れました。
健康管理室に連絡し、看護師が現場に言ったところ心停止と判断、心臓マッサージとAEDを行ったところ脈拍と呼吸が戻り、その後、救急隊が到着。
無事一命をとりとめ、退院後は以前と変わらない生活を送っているそうです。
AEDは誰でも利用できる!講習会で利用方法を習おう
AEDの長所は、使い方さえ知っていれば、資格など問わずに誰でも使うことができることです。
学生時代に学校でAEDや人工呼吸のやり方を現在では教えていますが、学生でもいざという時はAEDが使えるようになっていたほうが良いということを意味します。
「AEDを使うのが怖い」という人もいるでしょうが、AEDは自動音声に従って心肺蘇生を行うため、焦っていても、その声に従って措置を行いましょう。
電源を入れた後に、倒れている人の胸にパッドを貼れば、あとは音声の指示に従って措置を行うだけです。
このように、AEDは一般人も使えるとはいえ、冷静に処置できるようになるには、事前の訓練が非常に重要となります。
医療関係者がいない職場ならば、なおさらのことです。
もし職場でAEDを導入したなら、必ず心肺蘇生の行い方を、消防署や日本赤十字社などが開いている講習会へ習いに行きましょう。
職場の仲間がいきなり心肺停止することなど、誰しもが予想だにせぬ事態ですから、あまり普段考える機会はないかもしれません。
しかし、いつAEDを使う日が来るとは限りません。今から、緊急事態に対応できるように準備してはいかがでしょうか?
※ 厚生労働省 AEDの適正配置に関するガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000024513.pdf
※2 公益財団法人 日本心臓財団
http://www.jhf.or.jp/aed/arrangement.html