ゆとり職員を鍛え直さず組織を活性化させる2つの組織運営方法

労務

 東京都府中市が今年度から、入庁3年目の市職員全50人を自衛隊に2泊3日で体験入隊させることを発表し、旧態依然とした「トップダウン型」「精神根性論」を持つ市の組織運営方法に批判が集まっています。そこで本日は、社員の自発的な努力とそれに伴う成長を促す、2つの組織運営方法をご紹介いたします。

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府中市のゆとり公務員自衛隊研修が批判の的に

 宮藤官九郎が脚本を書き、話題になっているTVドラマ「ゆとりですがなにか」を始め、ゆとり世代に注目が集まっています。

 ゆとり世代とは、1980年代後半から1990年代前半にかけて、ゆとり教育を受けてきた世代です。

 早い時代に生まれたゆとり世代は、既に社会人となって数年が経過しており、社会の中枢に入り始めることが、注目を集めている理由と考えられています。

 昨日、このゆとり世代について、以下のニュースが物議を醸しました。

東京都府中市は今年度から、入庁3年目の市職員全50人を自衛隊に2泊3日で体験入隊させる。研修の一環で、同市は「厳しい規律の中で『ゆとり世代』の若手職員を鍛え直したい」とその意義を強調。ただ、識者からは否定的な意見も出ている。

 研修は同市内にある航空自衛隊府中基地で実施。事務職、技術職、保育士職の全員が6月の平日3日間を使い、災害時の救助活動やあいさつ、行進などの基本動作の訓練を行う。宿泊を伴う集団生活では時間厳守や整理整頓も重視される。

 インターネット上では旧態依然とした「トップダウン型」「精神根性論」を持つ市の組織運営姿勢に、紛糾の声が上がっています。

 そこで本日は、現代型の組織運営方法のうち、多くの企業で実践されはじめているモデルを、本日は2つご紹介したいと思います。

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ゆとりにも受け入れられる2つの組織運営形態

ホラクラシー型組織

 ホラクシー型組織とは、これまでのように組織のトップが全ての意思決定を行うのではなく、組織を細かく分散したうえで、権限をそれぞれの組織へ分散させて、責任ある意思決定をさせる、ハイブリッド型の組織運営方法のことです。

 この考え方が組織運営に浸透しはじめた理由の一つは、インターネットの進化に見出すことが可能です。

 インターネット内のSNSには、無数のコミュニティが派生していますが、これらはSNS内の規約を守れば、規約内で自由に行動を起こして良いことになっています。

 会社組織でも同じ考え方を適用すると、役職はなくなる代わりに、役割が与えられるようになります。

 役割を与えられることにより、コミュニティの中では上下に関係なく、自発的に行動する人が賞賛される風土が醸成されます。

逆ピラミッド型組織

 逆ピラミッド型組織とは、これまでトップが現場へ逐一指示を出して、現場はそれに応えて行動していたのに対して、あらゆる顧客と接する現場のメンバーを支えるために、マネージャー層、経営層が存在している、と考える組織運営方法です。

 逆ピラミッド型組織では、顧客と現場のコミュニケーションを取る、最前線に利益の源泉があると考え、経営者やマネージャー層は、それを支援するために存在していると考えます。従って必要なリーダーシップは、支援型リーダーシップと言われます。

 一昔前に流行ったTVドラマ「踊る大捜査線」では、現場で命をかけて戦う人間が、会議室にいる官僚の指示なしでは、何一つ動けないという風景が描かれていました。

 もし踊る大捜査線の警察組織が、逆ピラミッド型組織を導入すると、現場の人間に行動の自由が与えられ、官僚は車両や応援部隊の手配など後方支援をメイン業務とし、新たに掴んだ情報を現場に伝えるなど、サポート側に回ることでしょう。

 まさに「事件は現場で起きているんだよ!」を尊重した組織運営体型として、多くの企業に着目されています。

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行政サービスこそ現場に権限ある組織作りを

 府中市は、批判を受けて「自衛隊研修は災害時の訓練」であり、ゆとり世代の矯正を目的としたものではないとコメントしています。

 確かに、自衛隊・軍隊とは個の意見を0にして、上官の司令に100%従う組織であり、災害時にはトップダウン型組織が必要な場合もあります。

 とはいえ、現在の行政(特に地方自治体)に求められているのは、限られた予算の中で、最大限の付加価値を持つ行政サービスを実施する実行力です。

 市の職員に求められているのも、市民の意見やニーズを吸い上げた対応と、細分化されていくサービスの、常なる改善提案になります。

 ホラクラシー型組織や、逆ピラミッド型組織で培う組織風土は、行政サービスを行う組織にこそ、今必要とされているのではないでしょうか。

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