厚生労働省は、メタボ健診の数値が改善した人を対象に、公的医療保険の保険料を安くする新制度を発表した。社員の健康保険料は労使折半で支払われるため、保険料が安くなれば企業側の健保料支払いコストは減る。 メタボ改善が事業に良好な影響を与えている先行事例もあるため、企業のメタボ改善運動はますます高まる。
国の医療費を圧迫するメタボ 保険料差別化で打開策
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、ウエストが男性で85cm以上、女性で90cm以上で、血糖値、血圧、中性脂肪値のうち2つ以上の数値が基準値以上である場合に陽性と判断される。※1
厚生労働省は不規則な生活や食生活の乱れにより、生活習慣病が増大することを危惧し、2008年からメタボ検診を企業に義務付けた。
2014年9月19日(金)には追加施策としてメタボ健診の数値が改善した人を対象に、公的医療保険の保険料を安くする新法案提出を発表した。
元来健康な社員に対してはインセンティブとして、お金やスポーツクラブの利用券を給付される条項も盛り込まれる予定だ。
来年の通常国会で審議され、2016年度以降に多くの健保制度で適用されそうだ。※2
法改定を契機にメタボ改善 保険料節約チャンス
今回の法律改定は企業にとって保険料支払い節約のチャンスとなる。
企業に勤める従業員の健康保険料は労使折半制度となっているため、保険料を半分負担している企業の支払い額もメタボ改善で安くなるからだ。
同制度の普及によりメタボは企業のコスト増要因と認識することもできるため、業務改善の一環として従業員にメタボ改善を求めるケースがあるかもしれない。
メタボ減で事業が大成功 タニタの例
健康医療用計測機器メーカータニタはメタボ減を全社運動として行い、ビジネスにまでつなげた最たる成功例といえる。
同社は1999年頃より福利厚生の一環として自社従業員へ最新の健康計測機器を使用し、健康スクリーニングを行った。メタボと診断された従業員には、管理栄養士や健康運動指導士による指導を行いメタボ率を引き下げるよう働きかけた。
社員食堂も健康バランスを考え美味しい献立メニューを導入し大好評を博した。
成果として、社内の医療費は9%削減され、社食をモデルにした「タニタ食堂」ブランドで展開する飲食店は大ヒットした。2014年9月22日(月)からは中国瀋陽市で海外初出店も遂げた。※3
タニタほど直接ビジネスに直結しなくとも、メタボ改善により従業員が健康になれば、社内業務の効率化や外部との円滑な関係構築など様々なプラスの効果が生まれる。
保険法改定を機に様々な企業が本格的なメタボ改善に乗り出すだろう。
※1厚生労働省HP
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/metabo02/kiso/check/
※2日本経済新聞9月19日記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS18H20_Y4A910C1MM8000/
※3マイナビニュース
http://news.mynavi.jp/news/2014/09/17/336/