この記事は個人事業主の方を対象に、福利厚生費の基本知識、福利厚生費を個人事業主が使うための要件、個人事業主が福利厚生費を使って利用できるサービスをご紹介します。
そもそも福利厚生費って何?
福利厚生費とは
法律によって福利厚生費には会社負担が義務付けられているものがあります。
「法定福利費」と「法定外福利費」
福利厚生費は「法定福利費」と「法定外福利費」の二つで構成されています。
法定福利費は、法律で義務付けられている福利厚生にかかる費用のことを指します。
法定外福利費は、会社が任意で提供しているサービスにかかる費用のことです。
具体的な福利厚生費
法定福利費に当たるものとして以下のものが挙げられます。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
法定外福利費は例えば以下のようなものです。
- 交通費
- 社員旅行の参加費
- スポーツクラブの会費
- 社内レクリエーションの参加費
- 住宅補助
上記のような費用が該当します。
福利厚生費と会議費・交際費の違いは?
福利厚生費は会議費・交際費とよく混同されがちです。これら3つの費用の違いについて説明いたします。
会議費・交際費とは
会議費は社内会議や取引先との打ち合わせの際に使われた費用を指します。
交際費は取引先などの外部の関係者に対する接待・慰安のために使用した費用です。
福利厚生費と会議費・交際費の区別
目的が明確なものは、それぞれの費用に計上しましょう。
会議室代、資料代、会議時の食事代などは会議費。
得意先に対する接待、贈り物などは交際費。
社内で従業員のために行う行事などは福利厚生費、といった具合に区別しましょう。
飲食代の使用目的で区別する
福利厚生費と会議費・交際費は明確な規定がないため、飲食代などは特にどれを適用すればいいか判断が難しいケースもあります。
そういった場合は、飲食の使用目的で区別しましょう。
会議に関連した飲食は会議費、得意先の接待した際の飲食は交際費、社内行事などの飲食は福利厚生費といったように区別するとわかりやすいです。
個人事業主は福利厚生費を計上できるか?(1人の場合・社員を雇っている場合)
個人事業主一人の場合
個人事業主が1人で事業を行っている場合、基本的に福利厚生費を計上することは認められません。
それは個人事業主に福利厚生費の計上を認めてしまうと、仕事に必要な支出か、関係ない個人的な支出かの判断が難しくなるからです。
個人事業主が社員を雇っている場合
福利厚生費は従業員の福祉を目的とした費用であるため、社員がいる場合は経費に計上できると考えていいでしょう。
個人事業主の専従者の場合
従業員がおらず、専従者(家族)のみの場合には福利厚生費は計上できません。
専従者への給料の支払いは、一般的に経費計上の対象にならないからです。
生活費としてみなされるため必要経費として扱うことはできません。
個人事業主が活用できる福利厚生サービス
民間の福利厚生代行サービス
個人事業主向けに福利厚生を代行してくれるサービスがあります。
月額千円ほどから利用可能で、法人とほぼ同じ内容の福利厚生を利用することができる魅力的なサービスです。
代表的なサービスの例は、リロクラブやベネフィットステーションです。
クラウドソーシング企業のサービス
もし、あなたがクラウドソーシング企業の会員で、一定の条件を満たしているなら、全国の施設を利用する際や、各種学習サポートを受ける際に、優待や割引を受けることが可能です。
クラウドソーシングを利用するフリーランスにとっては非常に嬉しい制度です。
代表的なサービス例は、クラウドワークスが提供するフリーランスライフサポートです。
財団法人
「あんしん財団」は個人事業主やフリーランスに対して、「ケガの保障」や「災害防止サービス」「福利厚生サービス」を展開しており、加入すればこれらのサービスを受けることが可能です。
個人事業主が福利厚生費を計上する際に満たすべき3つの要件
これらの要件を個人事業主である貴方が満たしているなら、福利厚生費を大いに有効活用して、自らや一緒に働く人の満足度を高められることでしょう。
従業員全員に対して平等に支出されているか
福利厚生費は従業員全員に平等に支給しなければなりません。
ですので、役員のみに手厚いサービスを与えるといった行為などは、福利厚生費として計上できなくなります。
社会通念上過度な出費は認められない
福利厚生に対して、明らかに金額が大きすぎる場合は計上が認められない可能性が高いです。
非金銭的支出でなければならない
福利厚生費は社員に対してサービスやモノという形で支給しなければなりません。
直接的に金銭を渡しても福利厚生費に計上することはできません。