肉親が認知症になった場合の家族と患者の感情を知ろう

健康

 日本では65歳以上の高齢者のうち7人に1人が、認知症患者となっており、この割合は今後も増え続けることが予想されている。脳の仕組みが徐々に解明されていても、「患者や患者の家族の感情」をケアする技術はそれに追い付いていないのが現状だ。従って、家族の誰かが認知症となった場合は、豊富な経験を持つ医者を病院の規模に関わらず選ぶことが必要になる。

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認知症が発症すると本人も家族も苦労をする

 日本では65歳以上の高齢者のうち7人に1人が、認知症患者となっており、この割合は今後も増え続けることが予想されている。

 もしも自分の親が、夫が、妻が、兄弟が、認知症になったら、私達はどう対応すればよいのだろうか。

 今回は「心」にフォーカスしたい。

 認知症の患者を抱える家族(介護者)の心理段階は、

  • とまどい・否定 :事実を信じられない、信じたくない
  • 混乱・怒り:それが意地悪なのか症状なのか、怒りや悲しみがこみ上げる
  • あきらめ・割り切り:常識をおしつけても無意味、介護の知識を得る時期
  • 受容:介護者の理解が深まり、人間としても成長し、認知症の人を受け入れていく

 という段階を踏んでいくと言われている。

 家族(介護者)の苦労は、他人には測れないものがある。

 できるだけ介護者が理解を深め、介護を通して人として成長しようと心がけても、現実は大変厳しい。

 これまで普通に暮らしてきた身近な人が認知症になったということへのショックに打ちひしがれ、精神的に不安定になることもあるだろう。

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認知症患者の辛い気持ちを理解する難しさ

 認知症の本人はどのような気持ちなのだろうか。

 認知症患者の初期症状は、自分ではどうにもならない能力の低下などで思い苦しむことが多い。
 
 記憶障害(物忘れ)は、認知症の代表的な症状だ。

  • しまっておいたはずの物が見つからない
  • 物を失くす
  • 今何をしていたかを忘れる
  • 同じことを何度も繰り返す

 こういったことが増えてくると、本人はどうもこれまでと様子が違ってきている、何かが変だと思うようになるが、それが年齢的なものなのか、疲れからくるものなのか、本人にとっては判然としないケースが多い。

 自分がイメージする自分(かつての自分)と今の自分のギャップに苦しみ、あせり、苛立だつ。

 健常者はある程度自分の先の状態が予想できるからこそ、安定して今を生きられると言えるが、認知症の本人はそうではない。

 急速に失われていく能力の中で、認知症の患者は先の自分の状態が見えず、恐怖と不安の中にいるのだ。

 症状が進むと、色々なことを認識できなくなっているため、本人の気持ちや感覚を聞いたり察したりすることは困難だ。

 認知症ではない人同士であっても、相手の気持ちを理解するのは難しい。

 ましてや自身の認識が不安定で、表現力も衰えてくる人の気持ちを理解することが更に難しいことは、はからずも分かるだろう。

 昨今では、高齢者ばかりでなく、若年性の認知症の人が社会に対して発言する機会が出てきているので、症状を持つ本人の気持ちが少しずつ外部に対して語られることが増えている。

 認知症になる脳の仕組みが徐々に解明されていても、「患者の感情」をケアする技術はそれに追い付いていないのが現状だ。

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認知症対策は何よりも医者選びに左右される

 家族の誰かが認知症に罹ったら一番最初にするべきことは、「信頼できる医師」を選ぶことだ。

 もしも医師が認知症に対して知識や経験不足で適切でない投薬などをすると、逆に症状が悪化する場合もある。

 これまでの本人のことを知っている「かかりつけ医」がいれば、「かかりつけ医」とそれとは別の「認知症がわかっている医師」の両人との連携も考えられる。

 認知症の症状は、医師よりも普段本人と暮らしている(あるいは本人のことを良く知る)家族や周囲の人が一番良く知っているものだ。

 もし家族にとって医師の診断が信じられなければ、医師を変えて別な医師を探すことが必要だ。

 このとき、「大病院の有名な先生だから信頼できる」という観念は捨てるべきだ。

 小規模な開業医であっても、認知症をわかっている医師を探そう。

 医師の経験値によって家族の介護が楽になったり大変になったりすることを考えると、医師の選択は大変重要なことだ。

 一番大変なのは、本人と介護する家族、彼らの心だからである。

参照元

※ 政府広報オンライン
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html

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