ますます盛り上がるユーチューブ。投稿を閲覧する人も増えていますが、投稿者も増え続けています。さて、もし投稿する動画について収益化を望んでいないのに、投稿に広告が表示されるとしたら、閲覧者の離脱が増える可能性が高まり、あまり望ましいことではありません。なぜこのようなことが起きるのか?原因と対策を解説いたします。
ユーチューブの広告は動画所有者の許可を元に掲載される
ユーチューブに動画をアップロードした場合に、
- 「第三者のコンテンツと一致しました。」
- 「申立人によって収益化されています。」
というコメントが表示され、自分の動画に意図しない広告が表示されることがあります。
通常、広告が表示される動画は、その動画の所有者が収益を得るために広告の表示を許可し、広告がクリックされると、動画の所有者に広告費の一部が支払われるという仕組みになっています。
この仕組みは一般の方にも比較的知られているので、広告が表示される動画は、収益化を目的に掲載しているものであると受け取られます。
動画の所有者が収益化を目的として動画を掲載し、動画の閲覧者がそのように受け取るのであれば、所有者と閲覧者の認識が一致していますので、問題はありません。
しかし、今回お話しする仕組みは、そうではないということです。
仕組みが複雑なので、分かりやすく説明します。
広告を望まない動画所有者の許可無しに広告が表示されるケースがある
まず、音楽などのコンテンツの制作者が、自分のコンテンツをユーチューブに登録するとともに、そのコンテンツについて収益化を希望したとします。
たとえば、これがミセスチャイルドさんの登録した音楽動画だったとしましょう。
次に、そのコンテンツ(音楽動画)を使った動画を他の人、たとえば、タバターさんという人がアップロードすると、登録されたコンテンツが使われているかどうかを、ユーチューブ側が自動的にシステムを通じて検出します。
登録されたコンテンツが検出され(ユーチューブのシステムはとても精度が高い)、そのコンテンツについて収益化が希望されている場合は、動画の所有者(タバターさん)の意思に関係なく、コンテンツ制作者(ミセスチルドレンさん)の広告が表示されるようになります。
そして、広告がクリックされると、動画の所有者(タバターさん)ではなく、コンテンツの制作者(ミセスチルドレンさん)に広告費の一部が支払われるという仕組みです。
ここで、動画の所有者(タバターさん)が収益化を希望していない場合、動画の閲覧者はどのように受け取るでしょうか。
動画の所有者(タバターさん)が収益化を目的としていないにもかかわらず、動画の閲覧者は、動画の所有者が収益化を目的に掲載しているものであると受け取ってしまうので、動画の所有者と閲覧者の認識が一致しないという問題が生じます。
動画の所有者(タバターさん)が収益化を目的としているのか、それとも、動画に使われているコンテンツの制作者(ミセスチャイルドさん)が収益化を目的としているのかは、動画や広告の表示からは判別することができないので、動画の閲覧者は当然どちらのケースなのか分かりません。
広告を嫌がって閲覧者に動画を離脱される状態は、動画の所有者にとって望まれないことです。
利用許諾を得ているなら異議申立によって広告を非表示にすることが可能
特に、この収益化の仕組みは、動画に使われているコンテンツについて動画の所有者が利用許諾を受けて掲載している場合でも、登録されたコンテンツが検出されると、機械的に広告が表示されてしまうという点に注意を要します。
利用許諾を受けて掲載している場合は、「異議申立」という手続を行うことができます。
異議申立が認められれば、広告表示を外してもらえます。
ただし、異議申立は、不当に行うことを防止するため、不当な異議申立を行ったユーザに対しては、ユーチューブのアカウントが削除されるというリスクがあるので慎重に行うことが必要です。
もしも貴方がアップロードしている動画について、上記のようなトラブルに巻き込まれた場合は、著作権に詳しい弁理士や弁護士に相談することをお勧めいたします。