経済産業省・中小企業庁が5月8日に、早期の事業承継に絞った新たな補助金「事業承継補助金」の公募を開始しました。これはいわゆる従来の「第二創業補助金」をリニューアルした新しい補助金制度です。新たに創設された制度概要を詳しくご紹介します。
事業承継補助金制度が始まる〜政府の意図は?
経済産業省・中小企業庁が5月8日に、早期の事業承継に絞った新たな補助金「事業承継補助金」の公募を開始しました。
これは、事業承継をきっかけとした、中小企業による経営革新や事業転換への挑戦を応援するため、従来の「第二創業補助金」をリニューアルした新しい補助金制度です。
現在、国内において経営者の平均年齢は60代を超え、その中心はいわゆる「団塊の世代」。この層がゴッソリと引退すれば、多くの企業で事業継続が困難になり、法人税が大幅な減収となる可能性が高まります。
この事態を阻止するべく、後継者への円滑な事業承継を支援しようとする狙いがあるようです。
事業承継補助金の概要を以下ご紹介します。
事業承継補助金の制度概要〜後継者には経験が必要とされる
対象者
対象者は、
- ①地域経済に貢献する中小企業であり
- ②事業承継を行ったうえで
- ③新しい取組(経営革新や事業転換)を行う者
とされております。
平成27年4月1日から、補助事業期間完了日(最長平成29年12月31日)までの間に、事業承継(代表者の交代)を行った又は行う中小企業が補助の対象で、法人・個人事業者の違いは問われません。
①地域経済に貢献する中小企業とは?
地域経済に貢献する中小企業とは、
- 取引関係やサービスの提供で地域の需要に応える中小企業
- 地域の雇用の維持・創出を支える中小企業
のことを指します。
②事業承継を行う後継者の要件
次の3つ、いずれかの要件を満たした後継者が事業承継する場合、補助金給付の対象となります。
- 1)経営に関する職務経験(3年以上)を有している者
- 2)同業種に関する知識などを有している者(通算6年以上)
- 3)創業・承継に資する研修等を受講した者
つまり、一定程度の知識や経験を有している者が後継者となる必要があります。
③新しい取組(経営革新や事業転換)とは?
新しい取組(経営革新や事業転換)として認められる主なものは、
- 1)不採算事業、ノンコア事業からの撤退
- 2)ITを活用した資材の開発
- 3)新商品の展開による新市場開拓
- 4)業態転換
などです。
卸から小売への進出、業態転換(小売⇒サービス業への転換)、ITラインの業務への導入などが、その典型例とされています。
補助対象の経費はどこまでが範囲か?
補助対象の経費の範囲は、経営革新や事業転換に必要な事業費等とされており、
- 設備費
- 原材料費
- 外注費
- 委託費
- 広報費
- 知的財産権等関連経費
- 謝金
- 旅費
- 人件費
- 店舗等借入費
- 会場借料
- マーケティング調査費
などあらゆる費用が補助対象の範囲となります。
また、事業所の廃止、既存事業の廃業・集約を伴う場合は、廃業等に要する経費を上乗せして補助を受けることが可能です。
肝心な補助金の額と補助率は?
補助金の上限額は、
- 経営革新を行う場合⇒200万円
- 事業所の廃止や既存事業の廃止・集約を伴う場合⇒廃業費用として300万円上乗せ
よって、最大で500万円の補助金給付を受けることが可能です。
補助率は、3分の2までとされています。
事業承継補助金の公募期間と公募方法は?
なお、公募期間は平成29年5月8日(月)から6月上旬とされています。
公募を希望する企業は、認定支援機関(金融機関や税理士・公認会計士事務所等)へ相談のうえ、補助金事務局に必要書類を添えて応募し、採択を待つことになります。
参考リンク:経営革新等支援機関認定一覧
今回の補助金は、M&Aによって事業を譲渡するケースも対象とされており、これまでの「身内寄り」な事業承継だけではなく、他人同士の事業承継も幅広く対象となります。
ぜひ、事業承継を対象期間内に行う場合は、詳しい内容を認定支援機関に相談してみてはいかがでしょうか?
※中小企業庁:平成29年度予算「事業承継補助金」の概要を公表します
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2017/170501shoukei.htm