アマゾンジャパンは、4月21日に「Amazonフレッシュ」を開始しました。そこで本日は、できたばかりの「Amazonフレッシュ」を、顧客サービスの面(価格・配送・品質)からチェックしてみようと思います。総合するとターゲットを的確にとらえ、しっかり設計されたサービスと言えそうです。
アマゾンが生鮮食品へ進出!Amazonフレッシュのサービス概要とは
アマゾンジャパンは、4月21日に「Amazonフレッシュ」を開始しました。
果物・野菜、精肉・魚介類などあらゆる生鮮食品を販売する、プライム会員(年会費会員)向けの新サービスです。
そこで本日は、できたばかりの「Amazonフレッシュ」を、顧客サービスの面からチェックしてみようと思います。
まずは「Amazonフレッシュ」のサービス概要を見てみましょう。
- ・Amazonプライム会員の年間費用(3900円)とは別に、月額500円の「フレッシュ月会費」が必要。
- ・送料は1回配送あたり500円。注文金額が6000円以上で無料。
- ・最短4時間、朝8時から深夜0時まで2時間ごとに8枠の受け取り時間帯指定ができる。
- ・配送時に商品を受け取れなかった場合は配達員が持ち帰り、注文はキャンセル扱いになる。
- ・食品義務表示情報にはばらつきがあり、消費・賞味期限の記載は少ない。
- ・鮮度に満足できない場合の返金保証がある。(鮮度保証対象商品のみ)
- ・プライム会員は、30日間月会費無料で体験ができる。
Amazonフレッシュの価格・配送面での評価は?
さて、日本の生鮮食品のネット販売は加工食品に比べて利用率が低い状況ですが、「Amazonフレッシュ」は果たして日本の消費者に受け入れられるのでしょうか。
消費者調査のデータで確認してみましょう。
まず、年会費や送料といった価格面はどうでしょうか?
消費者庁が行った食品のインターネット販売に関する消費者調査によると、食品のネット購入頻度が高い層(週1回以上)は頻度が低い層よりも、「価格」よりも、「重い荷物を運ぶのが大変」「時間節約」といった利便性を重視する傾向が見られます。
食品のインターネット販売における情報提供の在り方に関する調査(消費者)(消費者庁食品表示企画課 平成28年8月10日)
また、ネット購入頻度が高いほど生鮮食品の購入率が高くなっています。(週1回以上:77.7%、月1~3回:52.3%、月1回未満:34.5%)
食品のインターネット販売における情報提供の在り方に関する調査(消費者)(消費者庁食品表示企画課 平成28年8月10日)
つまり、ネットで日常的に食品を購入する層であれば、「Amazonフレッシュ」の会費や送料を払っても利便性を重視し、生鮮食品を購入することが予測できます。
次に、今話題の配送面について、消費者はどのようなニーズをもっているのでしょうか?
ニールセンの食品・日用品オンラインショッピングに関する消費者調査によると、食料品のECに対する懸念として「留守中に食料品が届くこと」(55%)を上げています。
「Amazonフレッシュ」では、きめ細やかな配送時間指定と不在時のキャンセルが可能なため、消費者の受取不安を払拭し、再配達も発生しません。
品質面も無料体験と返金保証で不安解消狙う
そして、最後に鮮度や品質です。
同じくニールセンの調査によると、消費財ECに対して「オンラインで購入した商品の新鮮さや品質について懸念がある」(64%)、食料品のECに対する懸念として、「配達された食料品が注文内容と正確に一致しないこと」(57%)と回答しています。
さらに突っ込んで食料品のECで有効な戦略として、検討者(現在はオンラインで購入していないが、近い将来購入を検討する可能性がある)、トライアル(過去にオンラインで購入歴があるが最近は購入していない)の両方で、消費者の期待を満たさなかった生鮮食品に対する全額返金が、最も高い効果があるという結果になりました。(ただし、検討者では返金のみの戦略が最も高く(54%)一方で、トライアルでは返金と次回の交換商品の提供の組み合わせが最も高い(返金のみの50%に対し、54%))
次いで「配達後の賞味期限を明示」(検討者46%、トライアル45%)、「全ての生鮮食品の詳細情報を提供」(42%)となっています。
『グローバル・コネクテッドコマース調査(食品・日用品オンラインショッピングの未来)』【日本語版】(ニールセン(株) 2017.3.8)
この点については、「Amazonフレッシュ」の食品義務表示情報の掲載にはばらつきがありましたが、「30日間無料体験」や「鮮度返金保証」を設けることで、手に取って商品を確認できない消費者の不安を解消しようとしています。
さすがAmazonさん、ターゲットを的確にとらえ、しっかりとサービス設計されていますね!
今後の生鮮食品のネット購入の拡大につなげていけるか注目です。
画像:アマゾンジャパン