経営再建中のシャープが、国内全社員の約15%にあたる3500人規模の希望退職者の募集を始めました。企業が会社都合の整理解雇を回避するには、有効性の4要件を満たさなければならず、雇用に関わる助成金を受け取る資格をなくす場合もあります。いずれにせよ希望退職時は対象の社員にも厳しい選択が迫られています。
経営再建中のシャープが希望退職者を募集
経営再建中のシャープが、国内全社員の約15%にあたる3500人規模の希望退職者の募集を始めました。
今回の人員削減により2015年度下期に、シャープは約150億円のコスト(人件費)削減効果を見込んでいます。
このような希望退職者の募集は、業績悪化や事業所閉鎖に伴う会社都合の解雇(整理解雇)を回避するために行われます。
なぜ企業は会社都合の整理解雇を回避しようとするのでしょうか?
整理解雇の難易度をあげる4要件とはなに?
整理解雇は、
- ①人員削減の必要性
- ②解雇回避努力の履行
- ③人員選定の合理性
- 〜④解雇手続の相当性
の4要件をもとに有効性が判断されるため必然的にハードルが高くなります。
また会社が雇用に関わる助成金の申請を行っているなら、当該助成金を受けとれなくなる場合があります。
そこで企業は、まず希望退職者の募集により自発的な退職を促します。
当然、タダでは辞めてもらえませんので、割増退職金や再就職支援などの優遇措置とセットで希望退職募集は行われます。
また、経営再建が目的であるため将来の幹部候補である30代・40代までの若手中堅クラスは対象外になるのが通常です。
希望退職対象の社員も厳しい選択を迫られる
やはり辞めてもらうというのは最終手段です。
前段階として、残業の削減、賞与・役員報酬の削減、採用の停止、などの人件費削減策を講じて退職を回避します。
今回はその策もむなしく・・・、といったことでしょうか。
ちなみにシャープでは2012年にも希望退職者の募集を行っています。
その時は募集人員を大幅に上回る応募があったため、募集期限を待たずに打ち切りました。
会社の将来を見限った社員が多かったようです。
今回はどうでしょうか。
会社の将来に不安を抱いたまま勤務するか、割増退職金をもらって新たな道を選択するか。
どれが正解なのかは誰にも分かりません。
いずれにせよ対象者は人生を左右する厳しい選択を迫られています。