日本では結婚した2.9組に1組は離婚しており、母子家庭の経済的負荷は非常に大きな問題だ。更に母子家庭特有の問題でもある「子供を育てながらの就労」が困難を極めるにも関わらず、特定求職者雇用開発助成金のうち母子家庭の親に対する助成金が減額となった。政府が守ってくれない以上、自立するために積極的なサポートセンターの活用が必要になる。
特定求職者雇用開発助成金とはどんな制度?
厚生労働省が2015年1月に発表した『人口動態統計の年間推計』によると、日本における離婚率は1,000人あたり1.77件となった。
婚姻率が1,000人あたり5.2件であるため、日本では結婚した2.9組に1組は離婚していることになる。
子供がいない場合は、お互いの経済的負担は各々が責任を持てば良い話だが、子供が生まれた後に離婚して母子家庭となった場合、家計にかかる経済的負荷はとても大きい。
子供を育てながらの就労が非常に困難を極めるにも関わらず、最近政府が打ち出す政策は、母子家庭に対して厳しい内容となっている。
特定求職者雇用開発助成金が片親に厳しく
特定求職者雇用開発助成金とは、片親のような就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して、賃金相当額の一部が助成される助成金制度である。
同助成金が、今年5月1日に改訂された。
改定内容は以下の通りだ。
- 高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等:改定前補助額90万円 期間1年 →改定後補助額60万円1年
- 身体・知的障害者:改定前補助額135万円 期間1.5年→改定後補助額120万円 期間2年
- 重度障害者等(重度障害者、45歳以上の障害者、精神障害者):改定前補助額240万円2年→改定後補助額240万円 期間2年
今年度政府は、特に成長分野へ向けて補助金の支出額予算を取っており、生産性の低い補助金はリストラの対象としている。
煽りを受けて、リーマンショック後の雇用情勢の悪化によって引き上げていた、母子家庭向けの中小企業事業主に対する助成額が、年間90万円から60万円へ減額されてしまったのだ。
母子家庭の親はどのように自らを守るか?
今回の助成金減額は、政府がもはや母子家庭を十分に守る余力がないことを指し示す。
母子家庭の親たちはどのように自分たちを守る必要があるだろうか?
まずは自らの手で収益を生み出す能力を身につけることが必要になる。労働時間ではなく、仕事の成果で自分を評価してくれる職場を見つけ、結果を出すことに意識をおかなければならない。
また子供が幼少の場合は、積極的に外部の力を借りてスキルを身につける時間を作ったり、仕事をする時間を確保する必要がある。
一般財団法人「女性労働協会」が、地域(市町村単位)毎に子育てサポートセンターを運営しているので、困っているシングルマザーやシングルファーザーがいるなら積極的に利用するべきだ。