役員として突然亡くなる場合の死亡退職金制度を知ろう

退職金

 貴方が役員や社長であり、任期中に突然亡くなった場合、自分の退職金がどのように取り扱われるかを家族に告げることは得策だ。「死亡退職金」には、1)所得税や住民税が課税されない、2)翌期の株主総会の決議を待たずしても支給できる、という2つのメリットがある。弔慰金・花輪代・葬祭料を利用することで更に節税を行うことも可能となる。

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役員が現役で死亡したら退職金はどうなる?

 人間の一生は砂時計のように、いつか突然尽きるときがくる。病にかかり死を意識してからの死だけではなく、元気だと思っていても突然死が訪れる可能性は大いにありうる。

 例えば貴方が役員や社長であり、任期中に突然亡くなった場合、家族に対して、退職金をどう取り扱うべきか伝えればトラブルは少なくなる。

 死亡時に支給される「死亡退職金」がどのような特徴を持っているか、今のうちに家族へ伝えよう。

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死亡退職金のメリットを家族に知らせておく

 死亡退職金の特徴は以下の二点だ。

1)所得税や住民税が課税されない

 一般的な退職金と異なり、所得税、住民税などが課税されない。残された遺族を考慮した手厚い待遇である。ただし「死亡退職金」は相続税の対象となり、非課税範囲は法定相続人一人につき500万円までと決められている。

2)翌期の株主総会の決議を待たずしても支給できる

 通常、役員が自己退職などの理由で期の途中で退職した場合は、翌期の株主総会で決議されその後支給という流れになる。しかし、死亡退職の場合は、自己退職とは異なるため期や株主総会を待たず遺族へ死亡退職金を支給することが認められている。会社は、支給した額を事業年度の損金として算入する。

 役員の退職金には、上記のメリットがあるが、株主総会の決議や役員会の承認がないと支払われる確約はない。更に役員は使用人でないため、業績と連動して、退職金がもらえない可能性もある。

 自分が代表かつ独占的な支配権を持つ会社の役員(代表)でない場合、会社と最低限の退職金に関する規定を結ぶことは得策だ。家族にも会社と結んだ規定内容を把握してもらおう。

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弔慰金を利用した節税は要因により変化する

 社長や役員の死亡によって遺族が受け取る金銭について、もう少し節税対策を考えておきたい。

 例えば弔慰金・花輪代・葬祭料といった名目で受け取る金銭は、一定の範囲内で相続税の対象にはならない。

 ただし、業務上の死亡の場合は「普通給与の3年分に相当する額」、業務上の死亡でない場合は「普通給与の半年分に相当する額」を弔慰金として受け取った場合は「退職手当金」として相続税の対象となることを覚えておこう。

 会社も支給した死亡退職金は、法人税の経費として申告できるものの、現金に限らず不動産、生命保険などまとまった財産を所有している社長や役員の場合は、遺族の立場では相続税が大きく関連してくるため、弔慰金を含め死亡退職金や手当金の支給については過大にならないよう注意が必要だ。

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