日本でもお馴染みのロックバンド「U2」は世界で最も稼ぐバンドの一つだ。彼らは稼いだお金を社会に還元し、一方で知恵に富む節税対策を行っている。日本の音楽業界でも海外渡航を行う目的の1つが節税対策だ。国内租税環境が厳しくなり、国際化社会が進展するため、国内の企業経営者間でも海外を有効活用した節税対策の機会が増えていくだろう。
ロックバンドU2 世界を股にかけた節税家
名曲「With or Without You」でお馴染みのアイルランド出身ロックバンド「U2」は世界で最も稼ぐロックバンドの一つと言われている。
少し古いデータになるが、2011年には1億9,500万ドル(円換算:208億円)をコンサート収入等を通じて手にした。※1
U2は慈善活動家としても社会に貢献している。
多岐に渡る社会問題へ疑問符を投げかけるメッセージ性の強い歌を通じて、ファンの心をつかむとともに、チャリティイベントへの参加や貧困対策プログラムへの積極的な出資を行っているのだ。
しかし、彼らが有するもう一つの特徴は、活動を維持するために積極的な節税対策を行っていることにある。
U2の特筆するべき節税対策は、2006年に版権管理会社を自国アイルランドからオランダへ移したことだ。 オランダは印税や著作権使用料に対する直接税がないため、税率が極端に低くなっており、年間数十億の節税が可能となる。
ミュージシャンの海外渡航 節税のからくり
日本からも多数のミュージシャンが海外でレコーディング活動を行ったり、場合によっては海外移住している。
理由は音楽制作に適した環境・風土や熟練した人材を手に入れることに加えて、節税効果を兼ねている場合が殆どだ。
パーペチュアルトラベラー(永遠の旅行者)と呼ばれるライフスタイルだが、3カ国以上に自分の私生活・仕事・資産運用を分散させることで、合法的に節税が可能となるのだ。
確定申告時に印税収入が雑所得として国内で加算されても、源泉徴収分だけが引かれて自分の手元に多くのお金が入る。居住地を海外にし、国内での経済活動で得た資金は、安い海外で課税されるようにして所得税の節税も可能となるのだ。
課税強化 海外利用の節税手段が身近になる
自分には海外の節税など無関係と考える人は多いと思うが、海外利用の節税は大規模事業を展開する経営者だけのものではなくなる。
例えば来年からは相続税があがるため、国内で不動産や資産を相続する場合、税金が格段にあがる。相続貧乏世帯も増えることであろう。
海外に一定期間居住し、外国籍の資産管理会社を経由して国内資産を相続することで、税金が格段に安くなる場合もある。
海外を利用した節税対策は、もはや富裕層や一部の限られた有名人のみのものではなくなり、あなたの身近なものとなる。
※1 シネマトゥデイ
http://www.cinematoday.jp/page/N0033140