マイナス金利の影響によって、銀行間では「住宅ローン金利の」引き下げ競争が活発化しており、このような背景のもとで、タイミング良く家を購入する人が増えています。しかし、自宅の購入は自己資金を元手に何倍ものレバレッジ(借り入れ)を受け入れることです。冷静に購入後のライフプランを考えなければ、家の購入はムダとなってしまいます。
住宅ローン金利の引き下げで家を建てる人が増えている
マイナス金利の影響によって、銀行間では「住宅ローン金利の」引き下げ競争が活発化しています。
読者の皆様の中にも、このタイミングで家を購入されたり、ローンの借換えを実行されている方がいらっしゃることでしょう。
今日は、その中でも、これから日本国内で家を購入することを検討している方向けに、「買うか」「借りるか」を検討するうえで、ぜひ考慮してほしいことをお伝えいたします。
私自身も、15年程前に自宅を購入したのですが、日本を離れてシンガポールへ移住するにあたり、3年前にその自宅を売却しました。
そういった意味で、ある程度客観的な視点で、「買った方がいいのか」または「借りた方がいいのか」について、考えることが出来ているのではないかと思っています。
新築住宅を購入する時に一瞬検討したいこと
自宅を購入する場合、ある程度の頭金を確保した上で、出来るだけ低利の融資(住宅ローン)を受けようとするのは当然のことです。
購入することを前提としている方、または借り換えをする方たちにとっては、たしかに今がチャンスかもしれません。
確かに、考え方は人ぞれぞれですが、重要なのは家を買うことが、それ以降のライフプランに大きな影響を与えることを、しっかりと自覚することです。
なぜなら、一度家を買ってしまえば後戻りすることは簡単ではありません。住宅ローンが払えなくなり、売却を余儀なくされる方が多いのも事実だからです。
ですから、以下のように質問してみて、それでも家を購入するメリットがあるか否か、冷静に考えてみるのは賢明でしょう。
例えば、あなたが5000万円の家を、頭金1000万円、住宅ローン4000万円で購入したとしましょう。
これは、家を金融商品に置き換えて考えた場合、1000万円の元金に4倍のレバレッジを掛けて5000万円の投資をしたことと同じです。
そこまでのリスクをおったとしても、あなたの得られるリターンが存在するでしょうか?
日本の場合、新築住宅は購入してすぐに売却をしたとしても、普通は少なくとも2割、3割は価格が下がります。
この状態は、都心のワンルームマンションや収益物件であれば話は別にせよ、不動産投資としては明らかに失敗です。
自宅を購入する場合には、大きな借金を抱え、住宅ローンを払い続けるわけですから、それ以上のメリットを、買主が感じられるかどうかが重要になるのです。
借家では、家庭菜園をしたり、家の増改築をしたりするのは難しいでしょうから、そのような趣味を優先される方は家を買った方が人生における満足度は高くなるかもしれません。
たとえ、1000万円の元金に4倍のレバレッジを掛けて5000万円の投資を実行し、それでも家族と「持ち家での団欒」のほうが価値あること、そう思えるのなら新築住宅の購入を実行するかもしれません。
大事なのは、持ち家を購入するということは、元金に何倍ものレバレッジを効かせて、投資を実行することなのだ、という認識を持つことです。
このような認識を持たずに、安易な物件購入をする人には、割りと物件購入すべきでなかったと後悔しているパターンが多くいらっしゃいます。
冷静に考えると中古住宅で良いという場合も
一方で現在の日本の住宅市場を俯瞰しておく必要もあるでしょう。なぜなら、これからは、日本の人口は減少し、明らかに住宅が余ってくるからです。
地方都市に行けば空き家問題はさらに深刻です。
そのような状況の中で、高いお金を払って新築住宅を買う必要があるのかどうか、念頭に置くことも一考です。
これから先、中古住宅市場には、これまで以上に物件が供給されるでしょう。その時に、出来るだけ価格を抑えて購入し、リフォームをするといった選択もあるのではないでしょうか。
そこで浮いたお金を、住宅以外の支出に振り向けることも可能になります。
三大都市圏では、住宅価格が高騰しており、特に首都圏では新築住宅の平均価格が5000万円以上になっています。
住宅ローンの金利が低いから家の購入を検討する、というのではなく、その後のライフプランをしっかり考えた上で、最良の選択をしていきたいものです。