中小企業技術革新制度(SBIR制度)とは、政府が音頭を取り、中小企業者や個人の研究開発と、それによる成果の事業化を一貫して支援する制度のことです。SBIR制度を活用するには、同制度が指定する補助金をまず受ける必要がありますが、補助金を受けてSBIR企業となった後は様々な優遇支援を受けられます。指定された補助金の枠も過去最大規模となっているため注目したいところです。
中小企業技術革新制度(SBIR制度)ってなに?
中小企業技術革新制度(SBIR制度)とは、中小企業者や個人の研究開発と、それによる成果の事業化を政府が一貫して支援する制度のことです。
本制度は、バブル経済崩壊後に経済成長がマイナス2%を記録し、全産業ベースで開業率が廃業率を下回る中で、資源の少ない中小事業者の新たな事業活動促進をバックアップするため、平成10年に設立されました。
モデルとなったのは、アメリカ合衆国で先んじて実行された、中小企業の支援施策「SBIR制度」です。
SBIR制度は国が行う研究開発の事業について、各省庁に横断的な窓口を置き、中小事業者等の方々が参加する機会を増やし、それに伴う研究開発成果の事業化支援を行っています。
参加している省庁は、総務省・文化科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省の7省です。
以下、中小企業技術革新制度(SBIR制度)で、どのような支援が行われているかご紹介します。
SBIR制度による中小企業支援の具体的な中身
まず、SBIR制度では、中小事業者等の方々が研究開発を行うための補助金・委託費等を、特定補助金として毎年指定します。
SBIR特定補助金に指定された補助金では、中小企業に対する補助金の支払いが確実になされるように、補助金の全体額に対して「中小事業者向けの支出額」について一定の枠が設けられます。
また、SBIR制度では、SBIR特定補助金等で中小事業者等の方々が研究開発を行った成果を事業化するため、さまざまな支援策が設けられています。
具体的な支援策としては、
- 日本政策金融公庫の低利融資
- 公共調達における入札参加機会の拡大
- 研究開発成果等の事業PRが可能
- 特許料等の免税
- 信用保証枠の拡大等の支援措置
- 中小企業投資育成株式会社からの投資対象基準の緩和
- 小規模事業者設備導入資金制度の貸付割合の拡充
があげられます。
SBIR制度は企業だけではなく個人も対象の制度
SBIR制度の様々な支援策を活用するためには、まずSBIR特定補助金の交付を受ける必要があります。
SBIR特定補助金は、中小企業だけでなく、事業を営んでいない個人や大学の研究者、個人事業の開業や会社設立を新たにしょうとしている人も、幅広く対象となります。
毎年、2月から3月にかけて、指定予定のSBIR特定補助金対象が発表されますので、以下URLからチェックすることをお勧めします。
参考URL:日本商工会議所・中小企業技術革新制度(日本版SBIR)
平成28年には過去最高の450億円が、同制度の特定補助金目標として設定され、創業10年未満の中小企業・小規模事業者を積極的に支援することも表明されています。
ぜひ、制度の活用をご検討されてみてはいかがでしょうか?