30万円未満の少額資産を購入すると、その資産を購入・使用開始した年度に一括して費用計上が可能です。
ところが、例えばの話で、会社用にエアコンを購入して、本体代金が28万円、取付費用(付随費用と呼ばれる)が5万円だとしたら、計33万円と30万円オーバーになるため、特例は使うことができないのでしょうか?
少額減価償却資産の特例活用!だったはずが付随費用でズッコケ
例えば、貴方が「店につけるための業務用のエアコンを買おう」と考えたとします。
インターネットでカチカチカチと検索したところ、ちょうど欲しかった規模のものが28万円で売っています。
「やった、30万円未満だから一気に費用に落とせる!」
あなたは喜びます。
しかし、そのページをよく見ると「取り付け費用として別途5万円頂戴します。」と書いてありました。
この取り付けのための費用は、もしエアコンを買わなければ支払う必要のないお金ですよね。
モノを買った時に、一緒にかかる費用のことを「付随費用(ふずいひよう)」と言います。
この付随費用は、残念ながら本体価格に上乗せしなくてはなりません。
そうすると今回のケースでは、28万円+5万円=33万円となり、30万円をオーバーしてしまう、全額を一気に費用にすることはできない、ということです。
こんなにも少額資産の周りに存在する付随費用
この付随費用というものには、結構な種類がありまして、
- 運送費
- 運送保険料
- 購入するためにかかった手数料
- 関税
- モノを据え付ける
- 設置するための費用
- 試運転にかかった費用
といったものがあります。
これらは一例で、考え方としては「購入するためにかかった費用」「使用するためにかかった費用」を本体価格に足しなさいよ、ということですね。
例で言えば、エアコンを33万円で買ったものとして減価償却してくださいね、ということになります。
本当は企業会計基準というものと、法人税法施行令というもので2つ決まりがあるのですが、基本的には下の法人税法施行令を参考にしておけばよいのでそちらを載せておきます。
(減価償却資産の取得価額)
第五十四条 減価償却資産の第四十八条から第五十条まで(減価償却資産の償却の方法)に規定する取得価額は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 購入した減価償却資産次に掲げる金額の合計額
イ当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(関税法第二条第一項第四号の二 (定義)に規定する附帯税を除く。)その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
ロ当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額出典:法人税法施行令
付随費用のうちすぐ費用にできるものを探して節税に活用!
というのも、付随費用は、意外と範囲が広いため厄介だったりします。
しかし、一部については、「付随費用に該当するんだけどまあ費用にしちゃってもよいよ。」というものがあります。
「節税」という観点から考えるときに重要なことは、お金を払ったらなるべく早く費用にするということが大前提となります。
なるべく早く費用にすることで、その分の税金の発生をあとに延ばすことができます。
次の費用の支払いがもしあったら、顧問税理士へ「これ費用にしといてね」と伝えておきましょう。
企業は節税だけをするわけではないので、私の場合、利益を出したい会社さんであれば、あえて本体価格に載せて、減価償却することをご提案することもあります。
以下、付随費用のうちすぐ費用できるものをご紹介しましょう。中小企業用に抜粋しています。
- 不動産取得税(不動産を買ったときにかかる税金)
- 自動車取得税(車を買ったときにかかる税金)
- 登録免許税(登記するときとかにかかる税金)
- そのほか登録や登記のために必要な費用(司法書士さんへの報酬など)
- 建物の建設計画を変更したことによって意味がなくなった設計代など
- モノを買おうとしてキャンセルした場合の違約金(ほかのモノを買った場合でもOK)
- 借入をしてモノを買った場合の利息
出典:国税庁タックスアンサー、法人税基本通達7-3-3の2等
もし、該当するものがあったらなるべく早く費用にしてしまいましょう!