QVCジャパンが千葉マリンスタジアムのネーミングライツを途中解約
先月末、QVCマリンフィールド(千葉マリンスタジアム)の命名権を持つ株式会社QVCジャパンが、契約の途中解約を申し入れ、3億3千万円の違約金を支払うことで合意しました。
施設などの命名権(ネーミングライツ)取引は、ここ数年で急速に広がってきました。
特に地方公共団体などが、昨今の税収が伸びない状況の中、施設等の維持管理費を賄うために命名権を販売することが多いようです。
購入する側の企業は、自社の社名や商品名などを名称に入れることで、一定の広告宣伝効果を見込めます。
ネーミングライツ契約は、契約上どのように経費処理されるのでしょうか?
ネーミングライツを購入した時の経費処理と解約した時の経費処理
ネーミングライツを購入した企業の経費処理は、契約の仕方によって変わってきます。
おおよそ、命名権と命名権年間使用料は、以下のような形で経費処理されます。
命名権10億円(但し期間は10年とする)
命名権額と使用期間が定められている場合、10億円を税務上の繰延資産として、使用期間にわたり償却していく処理になります。
命名権年間使用料1億円(期間は10年とする)
月額使用料や年間使用料など、期間ごとの料金支払いとして決められている場合、その都度広告宣伝費などの費用として計上していくことになります。期間が長く、金額も高額な内容であれば、こちらの契約のほうが多いと思われます。
今回の千葉マリンスタジアムでは、契約期間の途中で解約し、違約金を支払うということです。
契約に解約条項があればそれに従うことになりますが、それが無かったために双方の話し合いによる合意がなされたようです。
この違約金は、基本的に解約した日の属する期の費用として損金処理されます。
但し、取引実態に比べ金額が著しく高額であったり、合理性を欠くものと判断されると、寄付金と認定され、一部が損金処理されない可能性もあります。
ここは、税務署の判断となるでしょう。
単年支出が増えるもQVCジャパンはトータル8億円の節約を実現する
QVCジャパンは3億3千万円もの違約金を支払いますが、契約期間を全うした場合には11億円かかることを考えると、単年度の支払いは多くなりますが、総額の負担は8億円近く節約できます。
中途解約の理由は様々です。
支払金額に見合うだけの広告効果が無くなったと判断したか、資金繰りが悪化し支払いに耐えられる企業体力が無くなったか、企業の内部事情は想像するしかないですが、いずれにしても表面上公表している理由だけではないことは確かでしょう。