出費したお金を経費として損金算入するためには、領収書を必ず保管していなければなりません。この領収書について多い質問の一つに「何年間くらい、領収書を保管する必要があるか?」というものがあります。
個人と法人は領収書の保管期限を何年と定められているのか?赤字企業が気をつけることを含めご紹介します。
領収書の保管期限を知る経営者はあまりいない
お店でお買いものをしたとき、取引先の接待で食事をした時に、皆さんはきちんと領収書やレシートをもらっていますか?
個人事業者や会社を経営している方なら、領収書は当たり前のようにもらっているかと思います。
様々な場面で事業主は領収書と関わるわけですが、お客様からよく聞かれる質問の一つに、
「経費の領収書って何年とっておけばいいの?」
というものがあります。
では、私達は領収書を、いったい何年間保管しておけばいいのでしょう?
領収書の保管期限は法律の改正で変更が多い
実は、領収書の保管期限に関する取り決めは、法律の改正でチョコチョコ変わっています。
「3年でいいって聞いたけど?」
「いや、10年間はとっておかないとダメでしょ?」
人によって言っていることに違いがあるようですが、ムリもありません。
実はここ10年間程度の間に、法律がゴチャゴチャと改正になっていまして、領収書などの帳簿の保存期間に、大きな変更が加わっているのです。
また、所得税や法人税、消費税などの各法律によって必要とされている書類の内容もバラバラ。
従って、余計に納税者が混乱してしまう原因にもなっています。
当初、それらの第三者作成書類の保管期間は「申告期限から3年」だったのですが、現在は「申告期限から5年」になっています。
このように、以前とは保存期間が異なっている書類もありますので、注意が必要です。
法人と個人の領収書保管期限はどれくらい?
では、法人と個人事業主で、領収書の保管期限は、現在どのように定められているのでしょうか?
見ていきましょう。
法人の場合は7年が原則的な保管期限
事業会社など法人の場合には、領収書の保管期間は原則として7年間と定められています。
例えば平成28年3月31日決算の法人の場合、法人税の申告期限は5月31日になるのが原則です。
平成28年1月1日の領収書があった場合、保存すべき期限は1月1日から7年ではなく、5月31日から7年間です。
決算期ごとに書類を整理しておけば、間違えることはほぼ無いと思いますけどね。
個人の場合も7年が原則的な保管期限
個人事業主等が所得税を支払う場合、白色申告と青色申告で多少ルールは異なりますが、基本的には法人と同じく7年が原則です。
以前は白色の場合に、領収書などをとっておかなくてもOKだったのですが、2014年からは領収書などを保管することが義務になりました。
白色申告の場合、領収書の保管義務期間は5年間ですが、請求書など他の書類は7年間保管しておかなければならないので、「7年間」と覚えてしまった方がラクです。
ただし、前々年の所得が300万円以下の場合は、5年間で良いという例外もあります。
消費税も7年とっておいた方が良い
消費税を納める事業者の場合、計算方法によって必要になる書類が変わってきます。
ただ、法人税も所得税も申告しない人が、消費税を申告しなければならないパターンは、ほとんどありません。
したがって、
【要注意】赤字の会社は9年間領収書を保管する必要あり
ちなみに、領収書の保管期限で、一つイレギュラーなケースがあります。
それは、赤字企業の領収書保管期限です。
「うちの会社は赤字でマイナスだから、税務署も目を付けないし、領収書もいらないでしょ」
赤字(マイナス)の会社の場合、法人税の申告をする際に、翌年以降にマイナス分を繰り越すための「欠損金の控除」という手続きを取る必要があります。
翌年以降に黒字(プラス)が出た場合、前年以前の赤字(マイナス)と相殺できるという非常にオイシイ制度なのですが、この制度の恩恵を受けるためには、色々と必要な要件があるのです。
その要件の一つが「領収書などの書類の保管」です。
例えば、平成27年12月決算の法人の場合、申告期限が28年2月末ですから、平成18年12月決算期の書類がようやく処分できるということになります。
現制度は不効率なものだが従わざるを得ない…
最後にまとめです。
法律や状況によって求められている期間は違いますが、
- 個人事業者は7年間保管
- 会社の場合は9年間保管
と覚えてしまうのが一番手っ取り早いですね。
できるだけ余計なモノを持ちたくない主義の自分としても、7~9年も書類を取っておくのは正直面倒くさいことです。
もっと簡便に処理できる方法は無いかどうか、色々と研究の余地があります。
いろいろと複雑でややこしい話ですが、国の制度である以上、これらのことをしっかりと覚えておきましょう。