お盆近し。同窓会に参加される方もいらっしゃるのではないでしょうか?
同窓会でそれぞれ違う道を進んでいる仲間に会うと、刺激を受けたり、新しい発見があったりして、良い影響を与えてくれる場合もあります。時には仕事が生まれる場合も。
解説していただきます。
久々の同窓会に参加すると仕事になることも!
読者のみなさんは、高校や大学などの同窓会に出席されることはありますか?
たまに昔の仲間とあったりするのは、とても良いことですよね。
同窓会でそれぞれ違う道を進んでいる仲間に会うと、刺激を受けたり、新しい発見があったりして、自分のビジネスや生活スタイルにも良い影響を与えてくれる場合もあります。
中には、昔の友達のつながりで仕事になることも良くある話です。
そうすると「ビジネスの話もするから、同窓会の会費って経費にならないの?」という質問をいただいたりします。
それでは、果たして同窓会の会費は「経費」として認めてもらうことができるのでしょうか?
同窓会の会費は経費に参入してはならない出費
チョットした例で考えてみましょう。
個人の歯医者さんが出身大学の同窓会に参加したとしますね。「なんとか歯科大学第50回生同窓会」という感じです。
専門性のある大学の同窓会に参加すれば、歯科医師業界の情報収集や、つながりの確保とかもできたりします。
同業から患者の紹介を受けることもあるかもしれません。
普通の高校や中学の同窓会費とは違って、こういった専門性の高い学校の同窓会なら、出席費用を「事業の運営に必要な費用」と考えることもできるかもしれません。
しかし、良く考えてみると、同窓会の「そもそもの目的」は、懐かしい友達との親睦を深めるためのものです。
決して「歯科医師の事業運営活動」をメインとした目的のために、同窓会は行われているわけではありません。
同窓会自体への参加者としての立場も、「歯科医師としての立場」というよりも「その学校の卒業生」としての立場の方がメインですよね。
このように、同窓会の会費は、事業に直接関係ない費用とみなされるため、経費にはなりません。
事業と直接関連ある会費は経費としても大丈夫
ポイントは事業と直接の関連があるかどうか
もちろん、どんな会費も経費にならないと言っているわけではありません。
- 歯科医師であれば歯科医師会の会費
- 歯科医師であれば歯科医師会の会費
- 税理士であれば税理士会の会費
- 商工会の会費
- 青色申告会の会費
などは、経費に算入できます。
会社や事業所がある場所の自治会費だって経費になります。
同窓会で多少の仕事のつながりができたとしても、それはあくまでサブの効果(副次的)なものでしかありません。
過去の判例
というのも、裁判所としての見解が同窓会と経費について、平成13年の判例によって、これを裏付けております。
請求人が支出した諸会費等が家事関連費に該当するとしても、業務の遂行上直接必要な部分を明らかにすることができないから、必要経費の額に算入することはできないとした事例
要約すると「同窓会は個人的な性格のものなので、経費にはなりませんよ」ということが、判例には書いてあります。
このように過去の裁判の事例は、その後の税務的な判断の指針になります。
フリーランスや個人事業者と会費の関係は?
事業とプライベートの区分が重要
フリーランスや個人事業者の場合は、事業者という立場がある一方、私人としてのプライベートな立場も有している、という大きな特徴を持ちます。
両方の性格を有するような支払いをした場合には、その内容を明確に区分できない場合、会費を経費とすることはできないのです。
ただ、裏を返せば「明確な基準を持って事業者の部分とプライベートな部分」をキチンと分けることができるのであれば、経費にできる道もあるということです。
具体例(ゴルフのプレー代)
ゴルフのプレー代を例にあげてみましょう。
接待の意味も含めて、お客様と一緒にゴルフに行ったり、会食したりするのにかかる費用は、経費にすることが可能です。
ただし、お客様を紹介してくれる“かも”しれない友人とゴルフに行っても、その費用は経費にできないでしょう。
やはり、「何でもかんでも経費にしてやろう」ということをするから、税務署もダメ!と言ってくるのです。
適正に区分し、適正な処理を
「事業に直接関係するものは経費として処理するけど、そうでないものは経費にはしていません」と普段からちゃんと区分し、適正に処理していれば問題は何も起きません。
8月のお盆帰省時には、多くの方が同窓会に参加されることでしょう。ぜひ楽しい時間をお過ごしください♪