ここ2週間の世界の株式市場は、まさにジェットコースターのような値動きをしています。資産運用の成果は「ポートフォリオが80%を決める」とも言われていますが、資産における株式の配分を高めに設定していた投資家の方は、今回の急落で大きな痛手を負っていると思います。分散投資について機関投資家が定めるポートフォリオの割合、個人が分散投資を行う際に意識したい4つの事項をプロが解説してくれます。
日経平均株価はジェットコースターの動きに
ここ2週間の世界の株式市場は、まさにジェットコースターのような値動きをしています。
9月4日に1万8,000円を割れた日経平均株価は、週明けの月曜日も64円安の1万7,727円と続落しており、まだ底をつけたとは言い切れない状況です。
今回の混乱で、現在の株式市場がコンピューターによる超高速取引に大きな影響を受けていることをさらに実感しました。
現在、多くの機関投資家は、独自にプログラム開発したコンピューターを使用し、数万分の1秒単位で株式などの売買注文を繰り返す取引をしています。
彼らの組んだ超高速取引プログラムは、個人が証券会社を経由する通常の取引より数百倍速く取引を行えて、意思決定も極めて機械的に行われます。
このような仕組みで今後も株式が売買されることには大きな問題があり、健全な市場とはいえません。
いずれヘッジファンドが行う超高速取引は規制されることになると思います。
機関投資家から学ぶポートフォリオの組み方
さて、今回の相場の混乱でもう一つ再認識したのは、資産運用における「適切なポートフォリオ管理」の重要性です。
資産運用の成果は「ポートフォリオが80%を決める」とも言われていますが、資産における株式の配分を高めに設定していた投資家の方は、今回の急落で大きな痛手を負っていると思います。
もし痛手を負われた方は、もう一度自分のポートフォリオを見直すことをお勧めいたします。
先ほど、機関投資家の超高速取引を批判した上で非常に言いにくいのですが、やはり彼らのポートフォリオ管理はとても上手であり、我々は彼らから学ぶ必要があります。
例えばGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用の基本として定めているポートフォリオでは、国内債券35%、国内株式25%、海外債券15%、海外株式25%としていて、株式の比率は50%までが基本としています。(50%でも高めだと思います)
アメリカで予定されている利上げや中国の今後の景気の動向など、これからも不安定な相場が続く可能性がありますので、株式による運用には特に注意が必要です。
4つの分野で考えて分散投資を心がけよう
ポートフォリオを分散する上で、もう一つ大事な考え方があります。
投資を行っていく上では、「資産」「時間」「通貨」「国」の4つの分散を行うことで、資産運用のリスクをコントロールしていくことを最も大切にする必要があります。
つまり
- 「資産」:現預金・株式・債権・投資信託・不動産など
- 「時間」:長期分散投資・ドルコスト平均法の活用など
- 「通貨」:円・ドル・新興国通貨
- 「国」:投資対象国の分散(海外不動産など)
について、トータルで世の中の流れを読み取り、リスクをしっかりと理解した上で、国内外の株式や債券・不動産などに分散投資をしていく必要があります。
大切なお金を投資によって失うことになれば、そもそも投資をする意味が全くなくなってしまいます。
ぜひ大切な資産について、リスクを軽減しながら増やすために、賢い分散投資を身に付けることを心がけてください。