中小企業経営の「生命保険で節税」無き今、経営者はどうしたらよい?

節税
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節税できる生保とは?なぜ流行った?

経営者の節税保険に国税庁がNO

皆さんこんにちは。組織活性化プロデューサーの南本です。

少し前の話ですが、『中小企業経営における「生命保険で節税」』という対策が崩壊するとニュースになりました。

節税保険に当局がメス 苦情増加の外貨建て保険にも監視の目
国税庁は節税目的に利用されている経営者向け保険にメスを入れる構えだ。13日午後4時過ぎ、東京都千代田区のオフィスビルにある生保協の大会議室。国税庁職員は「ルール…

2019年2月20日以降に大手の生命保険会社を筆頭に外資系も含めて節税型の生命保険の販売を停止しました。

その理由のひとつは『金融庁の怒りを買った』ということです。

「付加保険」に金融庁の不信感

節税保険の具体的な中身は、保険に加入した数年後に解約返戻金として、プールした資金を取り戻せるという仕組みの金融商品です。

この仕組みは大手生保が編み出したものですが、「付加保険」という金融庁の認可が不要な保険があり、手数料などを付加的に乗せて全体の保険料をあげ、節税をするというような商品でした。

この商品のヒットが保険商品の認可をする金融庁と国税庁に怒りに近い不信感を抱かせました。

生保業界はとても儲かったと思いますが、やり過ぎだったわけです。

節税保険は本来の「保険」目的より「節税」目的が重視されている

私も以前生命保険の代理店をしたことがありますが、黒字経営している会社の経営者というのは、なるべく税金を払いたくないと思っている方が非常に多いです。

そのなかで生まれた発想が『解約返戻金』です。

生命保険というのは簿外に資金がプールできます。全額損金の場合はPLやBS上に出てきません。

そうしておいて、5年後ぐらいに解約返戻金を活用します。

最初は返戻金は少ないのですが、5年後ぐらいから50%、70%という返戻金が返ってくる仕組みになっているので、その頃に取り戻すわけです。

例えば店舗であれば、5年後に資金を解約して、ものすごい数の出店計画をするなど、赤字になるような事業計画を組み、生命保険を解約した資金をトントンにします。

そうすると本来払うべき税金を損金で落としてしまえるので、税金を払わなくてよくなります。

これを『利益繰り延べ』といいます。

実際には節税ではなく、利益を繰り延べているだけですが、事業プランと上手く適合させると節税になるというわけです。

膨張し過ぎた都合が良い節税保険市場

大手生保がどんどん節税・付加保険などをやり始めて、解約返戻金を大手企業、中小企業のに売り始めたので、目立ってしまいました。

目立ちすぎるとこういう結果になるものです。

『はやる理由』は何かというと、資産ではなく損金です。

昔、がん保険は全額損金にできたのが、徐々に2分の1とか3分の1といったように、損金の率がどんどんしぼめられました。さきほどあげたように簿外上に資金をプールできるので、利益圧縮効果があります。

経営者にとって節税保険はオトク感が大きかった

この節税型の生命保険に入ってる人は少し語弊がありますが、ほぼ『おまけで生命保険』という意識で加入していると思います。

中小企業経営者の場合はほとんど節税目的です。

節税のおまけとして、死んだときや、寝たきりになったときにこの保険を使えばいいと思えばとてもメリットがあります。

節税も出来て、おまけに生命保険の機能もついているというこんな良い商品はありません。

というわけで、黒字が続きそうな会社の経営者に生命保険の営業マンが猛アタックしたので、この生命保険が売れたわけです。

中小企業経営者はとにかく税金を払いたくない人が多いです。

中小企業の経営者というのは、独立して自分の会社を作って従業員を雇って、自分の実入りをどんどん増やしたいという野心や物欲があります。それがないと中小企業の経営は成功しません。

ですから、生命保険の代理店から、中小企業の経営者に対して「逓増定期」という解約返戻金型商品の提案がとても多くなっていました。

生保は本来の保険加入目的に回帰するだろう

こういった商品を販売することで保険会社はもちろん、代理店には膨大な手数料が入りましたが、これからの時代は生保代理店は厳しいと思います。

目的にきちんと寄り添って、財務コンサルとして、経営のファイナンシャルプランニング的な役割を担わないと淘汰されていくと思います。

生保業界は本来の保険の目的に回帰していかないと駄目でしょう。

中小企業経営者がこれからすべきことは節税ではない

中小企業にとって、これからは非常に厳しい時代がやってきます。

人口も減っていき、国内の市場はどんどん小さくなったりと、先行きはどうなるかわかりません。

この状態で小手先の節税対策などやっている暇はありません。

今儲かっているのであれば、きちんと税金を払って内部留保して、会社を強くしておきましょう。

儲かっていないならば、一日でも早く黒字転換し、税金を払いましょう。

万一、赤字になっても、資金がたくさんあるという状態が一番いいので、そのためにも税金をしっかり払っておかないと資金が溜まりません。

矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、きちんと税金を支払っている企業は、最終的にお金もたまります。

資金調達が必要な時に、税金を支払っている企業ほど強い企業はありません。与信で税金と社保の支払いがきちんとしていると、それだけで金融機関の評価というのは格段に上がるからです。

また、日本は借金大国です。日本国には1110兆円の借金があります。

これを国民一人ひとりが返していかないといけないのですが、正直な話、返せっこありません。

節税保険を考えるのもいいですが、もう少し大局の視点に立っていくと、やはり税金をきちんと払って内部留保して経営をしていかないと、これからの時世は厳しいのではないかと思います。

この『生命保険ショック』は、日本の中小企業の経営者にとって目を覚まさせる良い出来事だったと思います。

 
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南本 静志

和歌山生まれ。株式会社紀陽銀行入行。銀行業務を2年程度経験後、システム部へ異動。

システムエンジニアとして銀行オンラインシステムや情報系のマーケティングシステムの構築で活躍する。

30歳代の後半には日本ユニシスに出向し、金融機関向けCRMマーケティングシステムの業務設計のリーダーを任される。その後、コンサルタントとして独立、現在は東京千代田区で経営コンサルティング会社と社会保険労務士事務所を設立し、代表に就任。

中小企業診断士及び社員を持つ経営者としての立場で、幹部社員(部長、課長、係長等)を次期役員に昇格させるようなマネジメント系の人材育成プログラムに強みを発揮している。また、初級管理職(主任や中堅リーダー)に対するモチベーション研修や自己発見研修も得意。

アールイープロデュース 

適性検査Cubic(キュービック)

東京中央社会保険労務士事務所

東京中央給与計算センター

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