支払う額はそのままで月当たりの年金受給額を増やす方法
65歳から受け取れる公的年金。
自営業の方は平均月額 55,464円の国民年金、会社員の方は平均月額 147,927円の厚生年金を受け取っているそうです。【平成28年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況より】
これらの年金ですが、実はよりたくさんもらう方法があるのをご存知ですか?
もちろん「それまでにたくさん年金保険料を払う」という答えもある意味正解ですが、支払う額はそのままに、もらう額だけ増やす方法があるんです!
【繰下げ受給】
正解は、年金を受け取る時期を「遅らせる」。
本来65歳からもらえるはずの年金を、もっと後からもらう「繰下げ受給」という方法です。
最長70歳まで繰り下げることが可能で、なんと1か月遅らせるごとに、0.7%増額されます。
1年繰り下げたとしたら、8.4%も年金が増える計算です。
【繰上げ受給】
逆に年金受け取りを「前倒し」にすることも可能です。
65歳からの年金を、60歳を限度に繰り上げてもらうことができます。
この場合、今度は1か月ごとに0.5%減額されることになります。たとえば3年繰り上げて62歳から受け取る場合、18%が減額されることになります。
繰下げ受給を安易に選択してはならない
こう書くと「年金は繰り下げてもらったほうが良い」ように聞こえますが、安易に遅らせるのは危険です。確かに繰り下げて年金額が増えるのは魅力ですが、その分年金受給期間が減ることを忘れてはいけません。
仮に85歳まで生きるとして、65歳から20年間通常の額をもらうのか、70歳から15年間、増額してもらうのか、どちらが得かは試算してみないと分からないからです。
上記は65歳から通常通り年金を100万円もらえる人が、繰上げ/繰下げ受給をした場合のシミュレーションです。
オレンジに色づけしたセルの数字が最もたくさん年金をもらえたことを示しています。
たとえば80歳で亡くなると仮定した場合、年金受給開始年齢を67歳に繰り下げたときに、最も年金の受取総額が多いことになります。繰り上げても、またこれ以上繰り下げすぎても、年金額は減ってしまうことが分かります。
ひとことで言ってしまえば、「早死にするなら繰上げ受給」「長生きするなら繰下げ受給」を選択するのが得になりますが、とはいえ自分の寿命など誰もわかりません。
男性の平均寿命が81歳、女性が87歳ですので、一般的には繰り上げるより繰り下げたほうが多くもらえそうですが、あくまで平均です。
そもそも65歳から、という開始年齢が変わる可能性もあります。
それよりも「何歳まで働けるのか」「65歳時点での総資産はいくらになりそうか」なども勘案して、総合的に判断したいですね。
iDeCoなども有効活用して、ギャンブル的な繰上げ・繰下げに頼らない、余裕のある老後を迎えたいものです。