メガバンクを含むあらゆる金融機関の「長期固定金利」の中でも、最も低い金利として知られてきた住宅ローンであり、住宅金融支援機構が取り扱う「フラット35」が、この10月1日から大きく変わりました。従来と比較して、金利の上乗せが行われた一方、団信が強制適用にとなり、身体障害等への保障も充実しました。冷静に民間ローンと比較しながら検討するのが良さそうです。
住宅金融支援機構が取り扱う住宅ローン「フラット35」
メガバンクを含むあらゆる金融機関の「長期固定金利」の中でも、最も低い金利として知られてきた住宅ローンであり、住宅金融支援機構が取り扱う「フラット35」が、この10月1日から大きく変わりました。
30代~40代などの子育て世代や資産形成世代にとって、金利やそれに伴う月々の返済額が増減するのはリスクです。
購入時の金利がずっと変わらないフラット35は、変動リスクを嫌う住宅購入者から広く選ばれている住宅ローンです。
しかし最も大きな弱点は、「団信が任意」だったこと。
団信とは「団体信用生命保険」の略で、住宅ローン契約者が死亡・高度障害になった時、ローン残高に相当する保険金が支払われるものです。この団信のおかげで、遺された家族はローン債務の消えた家に住み続けることができるので、ほぼ必須の補償といえます。
銀行などの金融機関では、団信の保険料はローン金利に上乗せされていますが、フラット35の場合は任意だったので、加入する場合は住宅ローン返済以外にも別途保険料を支払う必要がありました。
新生フラット35を従来のものと比較しよう
このフラットの団信制度が大きく変わります。
- 平成29年10月1日以降にお申込みの方から団信付きに
- いままでの金利に0.28%上乗せ
- 保障内容の強化
以上3点が変更点となります。
この10月からフラット35に申し込む方から、団信は任意ではなく強制加入になります。またそのための保険料は「金利+0.28%」です。
強制的な代わりに、実質的な団信保険料は値下がりになります。
比較例
たとえば、
- 3,000万円
- 35年
- 元の金利が1.2%の場合
従来、別途団信料は、35年合計で約205万円でした。
それが新生団信の場合、1.2%+0.28%=1.48%の金利となりますが、その増加する差額は約170万円です。
金額の違いももちろんですが、年に1度(クレジットカードの場合月払いも可)、忘れたころにやってくる団信料の支払いが無くなるのも精神的には大きい気がします。
ちなみに、現在申し込み済みで、引き渡し待ちの方は対象外です。
また、健康上団信が加入できない方は、マイナス0.2%で団信なしの契約となります。
これまで対象外だった身体障害等の保障も充実
通常の団信でも、死亡に加え身体障害状態での保障が加わります。
身体障害者福祉法に定める1級、2級の障害で障害者手帳の交付を受けた、など基準が明確となりました。
例えば、いままで完全失明のみ対象だったものが、両目視力の和が0.08以下(障害2級)の場合も対象になります。
また、完全に寝たきり状態という基準も、「ペースメーカー植え込みによる日常生活の著しい制限」(1級)なども給付になるなど、対象の幅も広くなっています。
3大疾病付きを選択した場合は、要介護2から要介護5に認定された時に給付対象となり、通常団信からさらにプラス0.18%の金利上乗せとなります。
保障は充実したもののデメリットにも目を向けるべき
そうは言っても不動産業者さん、銀行はフラットが嫌いです。
「優遇金利」という名の変動金利への誘導にすぐに乗ることなく、冷静に民間ローンと比較して、しっかり検討したいですね。
参考リンク1:平成29年10月のフラット35金利
参考リンク2:【フラット35が生まれ変わります】