平成29年7月3日に、平成29年分の路線価等が公表されています。今回の公表では、都心部を中心に不動産取引が盛況なことや、訪日外国人の受入促進のため開発が進んだ影響で、東京など大都市・観光都市の路線価が上昇傾向となりました。本稿は平成29年分の路線価等の概要をおさえると共に、目的別に評価が変わる土地の価格を4つお伝えします。
平成29年分の路線価等は都市部で上昇傾向
平成29年7月3日に、平成29年分の路線価等が公表となりました。
今回の公表では、都心部を中心に不動産取引が盛況なことや、訪日外国人の受入促進のため開発が進んだ影響で、東京など大都市・観光都市の路線価が上昇傾向となっていることが判明しています。
そこで本稿は、平成29年路線価等の概要と、不動産取引にかかせない土地の価格についてご説明致します。
特に不動産投資を考えている方や、オフィス移転や不動産取引を行う機会がある方は、4つの価格をしっかり覚えておくと後々役に立つでしょう。
平成29年の路線価等の概要〜価格が上昇した地方自治体は?
1)全体の傾向
標準宅地の路線価の対前年比は平均で0.4%上昇し、リーマンショック以来8年ぶりの上昇となった去年に引き続き、2年連続での上昇となりました。
2)都道府県別の比較
全体の傾向として上昇傾向にありますが、都道府県別に比較すると13都道府県が上昇、2県が横ばい、32県が下落となっています。
上昇している13都道府県は、東北大震災からの復興を遂げつつある東北の主要県、大都市、観光都市に偏っています。
上昇率TOP5は以下の通りです。
- 1位:宮城県(3.7%)
- 2位:東京都(3.2%)
- 3位:沖縄県(3.2%)
- 4位:福島県(1.9%)
- 同4位:福岡県(1.9%)
3)二極化する路線価
都市部での路線価の上昇に対して、地方での路線価の減少が続いています。
近年の路線価は外国人観光客や再開発によりその上昇が下支えされています。
今後はその開発に見合う観光客の増加・不動産需要があるかどうかで路線価の動向は変化しそうです。
土地の価格は「1物4価」4つの価格を覚えよう
なお、土地は「1物4価」と言われる用途により、4つの異なる価格が設定されています。
それぞれの用途・金額の考え方をご説明します。
1)実勢価格
不動産市場における売買価格・相場値・時価を言います。
2)公示地価
国土交通省が発表する土地価格であり、標準地を定め毎年3月に公表されます。
一般の不動産取引や、公共収用される土地の目安となる価格となります。
ちなみに公示地価は、概ね実勢価格の90%に設定されています。
3)路線価(相続税路線価)
国税庁が発表する土地価格のことであり、相続税や贈与税の計算の際に利用する価格を指します。
路線価は実勢価格の70~80%、公示地価の80%に設定されています。
4)固定資産税評価額
市区町村が発表する土地価格のことです。固定資産税や都市計画税の計算の際に利用されています。
実勢価格の60~70%、公示地価の70%目安に設定されています。
実際に不動産を扱う際は、周辺の今後の開発状況や、景観・建物の状況など様々な要素により金額は異なると思いますが、基準を知る1つの方法として上記4つの価格がどんな価格か覚えておくと便利ですよ。