芸能人に限らず、水商売などの接客業や営業職といった、直接人と相対する職業の人達の中には、見た目を整えて少しでも成績を上げようと美容整形をする人が少なからず存在します。この美容整形にかかる費用は、所得税や法人税の経費とすることができるのでしょうか?実は、板東英二さんに実施された税務調査が美容整形を判断するうえで参考となります。詳細をご説明しましょう。
美容整形の費用は経費とすることが可能か?
最近では、芸能人がテレビ番組で美容整形をカミングアウトすることも増えてきました。
注射を打つだけの簡単なものから、手術を伴う複雑なものまで、様々な美容整形を芸能人の皆さんは施されているようです。
芸能人に限らず、水商売などの接客業や営業職といった、直接人と相対する職業の人達の中には、見た目を整えて少しでも成績を上げようと、美容整形をする人が少なからずいらっしゃいます。
それではこの美容整形にかかる費用は、所得税や法人税の経費とすることができるのでしょうか?
美容整形の経費性有無は板東英二の事例に学べ
結論から言うと、現時点で、美容整形の経費性を直接的に規定したものは存在しません。
ただし、参考となる事例は存在します。
数年前、税務当局の調査を受けたと板東英二さんが会見を開き、「かつらはOKだが植毛はNGと言われた」という発言をしたことを記憶している人も多いでしょう。※
実は、この事例が美容整形を判断するうえで参考となるのです。
「かつら」は基本的に簡単に着脱ができるため、「仕事の時(TV出演等)に着けて、それ以外は外す」ということが可能です。
一方、植毛は仕事時やプライベート時に関係なく同じ状態のままで、たとえ「テレビ出演時のため」と説明したとしても、単にプライベート時の見た目を良くするためなのか否かの線引きができません。
そのため「かつらはOKだが植毛はNG」という判断になります。
実は美容整形にも同じことが言えます。
たとえば、化粧や香水などは仕事の時につけるものという説明ができますが、美容整形は公私を問わず影響が及びます。
それゆえ美容整形代は基本的に経費計上は難しいというのが、現時点での判断基準となります。
美容整形代を経費にできる業種は無いのか?
では、美容整形代を経費にできる業種は無いのでしょうか?
一例として考えられるのは美容整形を行う病院そのものです。
例えば新しい術式を試してみて、そのBefore/Afterをホームページや広告で使用するといった場合には、広告効果が認められるため費用計上される余地が出てくるでしょう。
「着脱可能な範囲」という基準を教えてくれた板東英二さん、その税務調査は価値あるものだったのかもしれません。
※板東英二 釈明会見で号泣も“意外な副業”で悠々自適?(週刊朝日)
https://dot.asahi.com/wa/2013112000005.html