経営者であっても「借金は嫌だ」と感じる方は沢山いらっしゃいます。しかし、ビジネスが上手くいき急拡大する際など、借金したほうがプラスになるケースは数多くあります。借金をする場合に大事なのは、事前に、借り方、借りる目的、借りた後の資金管理の3点を明確に決めておくことです。どのようにこれを実現できるか解説いたします。
経営者でも銀行からの融資を嫌がる人は多い
日本では、たとえ経営者であっても、「銀行からお金を借りる」ことについて、抵抗感を持つ人が結構多いなと感じることが多々あります。
やはり、世間一般で借金というイメージがあまり良くないというところはあるでしょう。
先日相談に来られた方にも、
「起業をするにしても、自分が持っているお金の範囲でやります。もし自分の資金が底をついたら、その時点で撤退します。」
ということを、はっきりとおっしゃる方がいらっしゃいました。
確かに、そういう選択肢もアリかもしれません。
起業を考えたとき、夢のようなバラ色の世界のイメージしかない人に比べれば、万が一の時の撤退戦略というモノを考えておくことは重要ですからね。
そういう意味で「自己資金のショート」を、一つのデッドラインとみなすのは一つの基準としては正解です。
銀行からの融資は本当にリスクでしかないか?
とはいえ、万が一ビジネスが上手く行き始めて、これを拡大していこうと思い始めると、どうしても資金が必要になるタイミングがあります。
特に、ビジネスを取り巻く経済環境が目まぐるしく変わる今の時代においては、どれだけ早くアクションを起こせるか、ということが成功を収めるうえで非常に重要なポイントとなります。
潤沢な自己資金がある人(会社)はそれで良いとしても、そうでない人(会社)にとってみれば、新しいことにチャレンジしたくてもお金が無い故に二の足を踏んでしまうことも良くある話。
もちろん「そんなチャレンジはしないよ」と言う人は良いと思いますが、チャレンジしたい人にとってはマイナスです。
そもそも、銀行からお金を借りるというコトはそんなに悪いことではありません。
お金を借りるのが悪いのではなくて、「お金の借り方」や「お金を借りる理由」が悪いのです。
その一例をご紹介すると、以下のようになります。
お金の借り方
- 良い借り方:計画的に必要な資金を計算して、その内容に合わせてお金を借りる
- 悪い借り方:運転資金が回らなくなったから、とりあえず銀行からお金を借りる
お金を借りる理由
- 良い借りる理由:いろいろな制度や銀行の条件を検討して、有利な条件で借りれたり補助を受けられる借り入れをする
- 悪い借りる理由:すぐにでも資金が必要なので、出来るだけ早くお金を用意してくれるところで借りる
こうして読んでみると当たり前のことなのですが、アタマでは分かっていても出来ないのが人間の性(さが)です。
たいてい借金で失敗している経営者は、銀行からお金を借りることでダメになるのではなく、お金を借りた後の管理が甘いゆえにダメになります。
計画的に資金繰りを考えていけば、銀行からお金を軽るというコトは悪いことでは決してありません。
借金の後で資金繰りの管理をしてるか?していないか?は大きな差となる
さて、経営者の借金が悪いことではないと言っても、銀行からお金を借りた場合には、絶対にしなければならないことがあります。
それは「お金の管理をキチンとする」というコト。
どのくらいお金が入ってきたのか、どのくらいお金が出て行ったのかということは、必ず把握しておかねばなりません。
出来れば、近い将来にどれだけ出入りがあるのかも見通しておく、くらいの気持ちも必要です。
そのために作成する書類が「資金繰り表」と言われる表です。
銀行からお金を借りるときには、将来の資金繰り表を作るのですが、借りてしまった後はほったらかしにしている人が殆どです。
実は、会社の継続性を把握するうえでは、損益計算書など「いくら儲かっているか」という書類より「いくらお金が残っているか」という資金繰り表の方が本当は大切なのです。
だって何のためにビジネスをしているんですか?
利益を出すこと?いいえ、お金を残すためでしょ?
という当たり前の話について、きちんと根本から向き合う必要があるのです。
お金が残っているということは「借金を返してもプラスがある」ということなので、十分に返済が出来ているというコトです。
もしお金が減っているようであれば、借金が返せていないというコトになるので対策が必要です。
こういう事実を常に把握しておけば、銀行からの借り入れで破産するようなこともありませんし、銀行から借りたお金を「自分のモノ」と勘違いすることもなくなるでしょう。