税金の申告漏れを起こすと、その理由別に4種類のペナルティが発生します。過少申告加算税、無申告加算税、重加算税、延滞税です。それぞれの性格がどのように違うか、支払うべきペナルティの率をご紹介します。また、ペナルティを支払う現金が無い場合、どのような対策を立てれば良いのかについても考えてみましょう。
クボタが税務調査で重加算税含む4億のペナルティを受ける
4月末に、産業機械メーカー大手の「クボタ」が税務調査を受け、10億円を超える申告漏れを指摘されたと報道されました。
そのうち2億4千万円は重加算税の対象となる所得隠しと認定され、追徴税額は4億円超にも及ぶとのことです。
税務調査で申告漏れがあると、本税(法人税、消費税)の他にペナルティとして重加算税がかかってしまいます。
過少申告加算税、無申告加算税、重加算税、延滞税など、一度は聞いたことがあるかもしれません(そのほか地方税にも加算金、延滞金があります)。
今回は、これら4つのペナルティの内容と、これらを当座の資金で支払うことが出来ない場合、どのように対応する必要があるのか考えてみましょう。
税金の申告漏れで生じる4つのペナルティとは
1)過少申告加算税
過少申告加算税とは、文字通り当初申告していた会社の所得(利益)が少なかった(過小)ときに課されるペナルティで、税率は新たに納める税金の10%(若しくは15%)相当額です。
これは、まだ比較的「うっかり要素」が強いため、ペナルティの設定もまだ少ないものとなります。
2)無申告加算税
無申告加算税とは、申告をしていなかったあるいは期限後申告をしたときに課されるペナルティで、税率は新たに納める税金の15%(若しくは20%)相当額です。
また、過去5年内に無申告加算税や重加算税を課されたことがあるときは、ここへ更に10%が加算されます。
3)重加算税
重加算税とは、過少申告加算税や無申告加算税が課される場合で、その原因に仮装・隠蔽行為があったときに、過少申告加算税・無申告加算税に代えて課されるペナルティです。
なんと税率は、
- ・過少申告加算税にかえて35%
- ・無申告加算税にかえて40%
と、かなり高額となっています。ワザと行ったとみなされる分、ペナルティ額も非常に大きなものとなります。
4)延滞税
延滞税とは、税金が定められた期限までに納付されない場合の、利息に相当するペナルティです。
原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、
- ・納期限の翌日から2月を経過する日まで→原則として年「7.3%」、 H29/1/1から12/31までの期間は「年2.7%」
- ・納期限の翌日から2月を経過した日以後→原則として年「14.6%」、 H29/1/1から12/31までの期間は「年9.0%」
の日割り計算された金額を支払う必要があります。
延滞税については、本税のみが対象で、加算税には延滞税はかかりません。
ペナルティを支払うキャッシュが無い時はどうする?
ペナルティを払うことになった時に一番気になるのは、今持っているキャッシュでこれを賄えるか?ということです。
本税とペナルティを合わせると、かなりのキャッシュアウトが発生する恐れがあるからです。
しかも、本税部分の支払いが遅れると、延滞税がどんどん膨らんでいき、ペナルティで会社が潰れます。
当座のお金が無い場合、一体どうすれば良いのでしょうか?
1)銀行融資
もしも会社にお金がないとき、延滞税の率より低い利率で銀行からお金が借りられるならば、借りて払ったほうがお得になります。
しかも延滞税は損金不算入ですが、借入利息は会社の損金となります。
ですが、税金を支払うための借入というのは銀行が難色を示す場合もあります。本税部分は貸しても加算税部分は貸さないということもあります。
もちろん、借りる理由を偽ることは言語道断です。発覚した場合は、一括返済、裁判沙汰、二度と融資を受けられなくなるなど、様々なペナルティが銀行から課されるからです。
2)個別相談で支払計画を提示する
どうしてもキャッシュが足りなく、銀行からの融資も受けられず、ペナルティを一度に支払えないときには、税務署に分割で支払うお願いをしなければなりません。
分割納付という制度は無いのですが、支払えないという事情を説明すれば相談に応じてくれます。
ただし、先程のとおり支払いが伸びれば伸びるほど延滞税がかさんでしまいます。できるだけ早く納めたほうがよいのは言うまでもありません。
以上を踏まえると、税金の支払に必要な資金は、どんなことがあっても必ず最初に確保しておく、法律スレスレの節税対策などしない、というのが、最良の税金対策となります。