佐々木主浩さん所有の馬が優勝し約4億円の賞金を獲得したのをはじめ、有名なところでは北島三郎さんや前川清さんなど、数多くの著名人が馬主として登録しています。馬主といえば個人のイメージが強いですが、果たして法人は馬を所有し、事業とすることは可能なのでしょうか?馬主となる手順、収入の計上方法をご紹介します。
法人が馬主になることは果たして可能か??
先月ドバイで行われた競馬のG1レースで、元プロ野球選手佐々木主浩さん所有の馬が優勝し約4億円の賞金を獲得しました。
有名なところでは北島三郎さんや前川清さんなど、また競走馬だけではなく乗馬用まで含めれば、著名人の馬主は数多くいらっしゃいます。
馬主というと個人のイメージが強く、実際複数の馬を所有しているお金持ちから、小規模な一口馬主まで様々な形態の個人馬主がいます。
では法人で馬を所有することはできるのでしょうか?ここでは競走馬を例に考えてみましょう。
馬主事業は法人として参入できる立派な事業
競走馬は「馬」という資産に投資をし、それを育成して賞金を稼ぐ(利益を上げる)ことを目標にする立派な事業です。
以下、法人として馬主になる手順をご紹介しましょう。
定款登録
そのため会社が馬主になるためには、まず定款の目的に「競馬事業」がなければなりません。
JRAやNRAの登録要件を満たし承認を得る
次に馬主登録です。目的があってもすぐ馬主になれるわけではありません。
日本中央競馬会(JRA)や地方競馬全国協会(NRA)の登録要件を満たす必要があります。
要件には会社の利益・税務内容のほか、代表者にも個人馬主と同じ要件を課し、さらにJRAではそもそも代表者に個人馬主としての一定の経験を必要としています。
経営者の個人馬主としての競走馬購入費や育成費などはもちろん会社の経費にはできません。もし会社から出そうとすると役員賞与や役員貸付となってしまいます。
馬を購入する。減価償却は?
無事に馬主登録まで終わると、いよいよ競馬事業の始まりです。最初は馬を購入しなければなりませんがここで注意が必要です。
購入した競走馬は器具及び備品として資産計上し、耐用年数4年で減価償却を行いますが、生物の場合の減価償却開始日は「当該生物がその成熟の年齢に達した月」=牛馬の場合は「通常業務の用に供する年齢」とされています。
さらに競走馬の「通常業務の用に供する年齢」とは、競走馬登録終了日が該当するという取り扱いになり、これは最短で馬齢1歳の9月で、それまでの育成費は競走馬の取得原価に加算されることになります。
減価償却開始後は育成費等は費用とすることが可能です。
レースで賞金を獲得した際の収入はどうなる?
さて、無事に馬が育った後にレースへ出場し、見事に賞金を獲得した場合、これらの収入はどのように処理すればよいでしょうか?
こちらは、先述の通り立派な事業であるため、獲得賞金や出走手当等の収入は会社の売上として課税対象になります。
ただし、馬主になることでかかる費用は、下手すれば良い血統馬は数百万から数千万円、飼養代だけでも年間数百万円かかりますから、普通に考えれば、イニシャルコストが高く、収入の不明瞭なビジネスとなり、大抵は赤字となります。
もしも会社で馬主事業に乗り出すならば、収入を得るという意味合いよりも、広告宣伝効果など副産物を考慮する必要がありそうです。