スカイマーク前社長が株を売却 民事再生へ一歩前身

資産運用

 スカイマーク前社長の西久保愼一氏が、2月に入り同社株式保有分の約70%(全株式約2,790万株)を売却したことが報道されている。同氏の株式売却を避難する声も上がっているが、売却の背景にある、上場企業経営者として異例の自己資金注入や、民事再生法の申請を早期に認可してもらおうとする姿勢を評価するべきだ。

スカイマーク前社長 保有株をあらかた処分

 経営破綻し、1月末に民事再生法の適用を申請していた国内航空3位、スカイマーク前社長の西久保愼一氏が、2月に入り同社株式保有分の約70%(全株式約2,790万株)を売却したことが報道されている。

 報告書によると、同氏は2月の3営業日で普通株式を市場で処分した。

 民事再生法の申請後、連続ストップ安を続けて、値がつかなかったスカイマークの株価は、値幅制限が撤廃された2日にようやく値を付けた。

 2日の株価は32円で取引が始まり、前営業日比で88%安となる19円で取引を終えている。もし32円の高値で報告書記載の約1,900万株弱を売却できたとして、約6億円の資金が手元に帰ってくる計算だ。

西久保前社長の株式売却は自己中心的か?

 今回、西久保氏が自己株を市場売却した判断を「そそくさと逃げ出そうとしており、身勝手」とする意見もある。

 しかし、それはお門違いと言えよう。

 同氏は従業員の1月給与支払いを行うために、自己資金7億円をスカイマーク社へ貸し付けている。経営破綻が決定的な状態となったときに、無担保で行う個人貸付は抵当順位が最下位となるのもわかっていたことだろう。

 1月末にスカイマークが現金として有していたのは、わずか3億円であり、投下資金は1ヶ月で半分以上溶けていたことになる。自分のことだけを考えればこのようなことはできない。

 また、自己株の市場売却は、自らの影響力を低下させ、早期の会社再生につながる効果もある。

 反面教師として、2001年に経営破綻した大手小売業マイカルが思い出される。

 マイカルは2001年の初頭から資金繰りに窮し、当時のメインバンクであった第一勧業銀行から融資をストップされ、会社更生法を適用するように促されていた。

 それに対して、経営に失敗したにも関わらず旧経営陣は大勢が地位を保ち続け、民事再生法による再建を主張し、会社更生法の適用申請を進める当時の社長と第一勧業銀行出身の取締役を取締役会で解任し、民事再生法の適用を申請した。

 しかし、メインバンクの支援を受けられないまま自己主張を突き通した再建が成功するはずもなく、同社は結局、民事再生手続きを断念し、会社更生法の申請を行わざるを得なくなった。

 巨大企業が民事再生法を申請する場合、影響力のある旧経営陣がいると再生計画がうまくいかないことを、西久保氏はわかっているのだろう。

経営に失敗した結果自体は変えられないが…

 算段の甘かったA380の巨額発注キャンセルによる賠償問題、円安に対抗するための徹底的な差別化失敗など、西久保氏が経営に失敗した事実自体は変わらない。

 しかし、同氏はもともと上場企業の社長であり、スカイマークに対する責任は有限責任に範囲が限定される。

 借金の保証人になる必要もなければ、自己資金を供出する必要もないのである。

 経営破綻し、上場廃止になることで多くの既存株主に迷惑をかけたとは言え、やるべき分は現時点で精一杯やっていると言えよう。

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