社長のボーナス⇒事前確定届出給与はどう活用すれば効果的?

節税

 経営者にとっての給料である役員報酬には縛り事が沢山あります。でも、経営者だってリスクをいっぱい背負っている分、ボーナスが欲しい!そんな場合に使える制度として、本稿は「事前確定届出給与」の概要をご紹介します。どんな時にこの制度を使うのが効果的か?制度を活用する際に気をつけるべき点とは?など利用時に生じる疑問点にもお答えします。

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社長のボーナスを決める事前確定届出給与とは

 こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。

 以前、「中小企業の役員報酬〜2つの合法的な支払い方法を知って沢山給料をもらおう」という記事の中で、社長へのお給料の支払い方として、

  • 1)毎月同じ金額を支払う方法:定期同額給与
  • 2)事前にボーナスの金額を決めて届け出ておく方法:事前確定届出給与

 という2つの方法があることをお伝えしました。

 先週はこのうち、1)毎月同じ金額を支払う方法:定期同額給与について、「社長の基本給「定期同額給与」の決め方とよく聞かれる5つの疑問への回答」と題して、詳しくお伝えしました。

 ならばということで、本稿は、「2)事前にボーナスの金額を決めて届け出ておく方法:事前確定届出給与」について、その制度概要と活用方法をお伝えしたいと思います。

 さて、「事前確定届出給与」と言われると小難しい名前に感じますが、これ、要は社長(役員)がもらえるボーナス、と理解するのが簡単です。

 ボーナスと聞くと、なんかわくわくしますよね。それではスタートです。

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社長のボーナスの決め方には2つのルールあり

 まず、社長へ給料(サラリーマンなら基本給)を支払うときは、原則として毎月同じ金額を払う必要があります。

 ただ、「社長だってボーナスもらいたい!」と感じますよね。

 こういう時に使えるのが「事前確定届出給与」ですが、まずはどんな制度なのかをざっくり見ていきましょう。

 事前確定届出給与は、

  • 賞与(ボーナス)の金額を決めておくこと
  • 賞与(ボーナス)を支給する日を決めておくこと
  • この2つを決めた日の1カ月後までに税務署に届け出ること

 という3点の要因が揃った場合に、通常だと経費にならない社長へのボーナスを経費にすることができる制度です。

 「な〜んだ、賞与の金額と支給日を決めりゃ良いのか」という方もいらっしゃるかもしれませんが、役員の賞与というものは通常決算のあとに毎年ひらく株主総会(定時株主総会)前後で決めねばなりません。

 またこの期間には、「期が始まって4カ月以内」という縛りもあるので、もし制度を活用したければ「新しい期が始まったら決めておかなくちゃいけない」という認識でいる必要があります。

 1円でも、1日でもずれたらアウト(全額経費として認めてもらえない)というのが少し使い勝手の悪いところですね。

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事前確定届出給与を活用するのが効果的な3つの場面

 では事前確定届出給与は、どういうときに使うといい制度なのでしょうか?

 私がお客さまにご提案しているのは、

  • ボーナスがあるとモチベーションが上がる場合
  • 予想される利益の変動が大きい場合
  • 社会保険料を少しでも減らしたい場合

 といった状況のときです。

 以下、見ていきましょう。

1)ボーナスがあるとモチベーションが上がる場合

 まずボーナスがあるとモチベーションが上がる、単純な場合です。

 このケースは、「利益目標を定めて、その利益に到達したときに従業員も自分もボーナスをもらえる」という制度にすることによって事業の原動力にしたい、という社長さんに合う方法です。

 1人の場合なんかは、特にダイレクトな設定にできますよね。

2)予想される利益の変動が大きい場合

 次に、予想される利益の変動が大きい場合も、事前確定届出給与を活用することが有効になります。

 これはたとえば、

  • 今期の利益の見込みは100万円
  • ただし、大型案件が入れば500万円になるかも

 というような場合のときに、まず低いほう(100万円)の見込みにあわせた金額を定期同額給与(毎月の給与)で設定しておき、たとえば200万円程度のボーナスを設定しておくことで、大きく利益が出た場合に対処する方法です。

 決算前に焦って変な節税に走るよりは、こっちのほうが社長さんのモチベーションにつながることもあり、会社さんの状況によっては私はご提案することがあります。

 ただし、所得税や社会保険料はかかってしまうので、本当に状況次第で決めねばならず、注意が必要です。

 図にすると、

節約社長

 こんなふうな見込みがあった場合に、低い見込みの100万円の利益だったらボーナスなし。

節約社長

 高い見込みの利益が出たら200万円のボーナスを支払う。

節約社長

 というような使い方ができるということですね。

 ただし注意点としては、前述の通り、1円でもずれたらダメなので、「200万円はムリだから100万円だけ支払う」ということはできません!

 ボーナスをそもそも出さないなら問題ないので、「0円か全額か」のどちらかにするのが基本的な使い方です。

3)社会保険料を少しでも減らしたい場合

 これは小技という感じですが、社会保険料を少しでも減らしたい場合にも使えることがあります。

 賞与(ボーナス)の社会保険は上限が決まっています。

  • 健康保険は年間573万円まで
  • 厚生年金は月間150万円まで

 という感じです(2017年2月現在)。

 小規模な会社さんだと健康保険はなかなか難しいですが、厚生年金の場合は月150万円なのでハードルはやや下がります。

 これはつまり、200万円のボーナスを払うことで50万円分は厚生年金として引かれなくて済む、ということになります。

  つまり、200万円-150万円=50万円、が引かれなくて済みます。

 厚生年金は2017年1月現在18.182%なので、会社負担と本人負担を合わせると、この場合、50万円×18.182%=90,910円の社会保険料負担を減らすことが可能になります。

 ただ、単純にこの金額が減るかはその方が普段どれぐらいのお給料をもらっているかで変わりますし、あまりにもボーナスが多いと税務署に「この会社なにしてんだろ?」と思われることはあり得ます。

 確かに、年収600万円の社長さんが「600万円全額ボーナスにすれば社会保険が安くなる!」と思っても、手続き的には社会保険も税金も間違ってはいないので問題はありません。

 しかし、怪しまれた結果、税務調査に入られて別のところで税金をとられることがあるので、リスクは踏まえたうえで判断する必要があります。

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事前確定届出給与を活用する際の手続きと守るべきスケジュール

 では次に、事前確定届出給与を活用する際の手続きと、守るべきスケジュールについてご説明します。

事前確定届出給与のスケジュール

 たとえば、12月決算の会社さんの場合、スケジュールがどうなるかというと

  • 12月に決算
  • 決算の数字が固まり、3月に株主総会をし、役員の賞与を決める
  • その賞与を決めた日の1カ月後までに税務署にその内容を届け出る
  • 実際にその決めた日に決めた金額を支払う

 という流れになります。

 「新しい期が始まって4カ月以内」という縛りがあるので、とりあえず「新しい期が始まったら決めておかなくちゃいけない」と覚えておきましょう。

 また、「ボーナスを払う日は決算の月が良い」と私はオススメしています。この例だと12月ですね。

 その理由は、「そのほうが一年の利益の状況を確認できるから」です。

 また、正確には「社長がボーナスをもらう日」なので、その日が平日かどうかも確認しておきましょう。

 新しく会社を設立した年は「設立日から2カ月以内」なので、ここも注意しておきましょう!

 ちなみに株主総会が2カ月以内か3カ月以内かはその会社の定款によって変わります。

事前確定届出給与を活用する際に必要な手続き

 次に、事前確定届出給与を活用する際に必要な手続きについても触れてみましょう。

 税務署に出すのに必要な書類は、

  • A.事前確定届出給与に関する届出書
  • B.付表(事前確定届出給与等に関する状況)

 の2つです。

 Aの書類には「いつ株主総会をしたか」「ボーナスにしたい理由」などを書く必要があります。

 Bの書類には、そのボーナスを支払う人の「ボーナスの金額」「ボーナスを支払う日」「毎月の給料の額」などを書きます。

 参考リンク:国税庁:事前確定届出給与に関する届出

 いちいち小難しい言葉で書いてあって結構細かい書類なので、このへんはちゃんとわかる税理士に依頼したほうが、手間は少なくて済むかもしれませんね。

 また、「株主総会などの議事録のコピーももらえますか」と言われたこともあるので、書類はきちんと整えておきましょう!

 以上、事前確定届出給与の活用方法についてお伝えいたしました。

 癖のある制度ではありますが、使い勝手によってはうまく活用することもできますので、概要を知って上手に利用しましょう!

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谷口 孔陛

【自己紹介】

めがね税理士・谷口 孔陛(たにぐち こうへい)と申します。

社員10名以下、1人社長様など、小規模企業に特化してサービスを提供しております。

ビジネスの最前線となる東京都心・神田駅徒歩5分の場所に事務所を構え、常に最新のトレンドを抑えた企業の財務アドバイザリーを行っています。

小さな会社を全力で応援します。財務に関する相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

【当事務所の強み】

■ より評価の高い決算書にするためのご提案

「決算書は誰がつくっても同じ」ではございません。

特に格安の税理士事務所さんに申告してもらった結果、貸借対照表がめちゃくちゃになってしまっている会社さまがあります。

銀行はこの貸借対照表も評価しますので、経営者の方が「何も問題が起きてないから大丈夫」と思っている間にどんどん銀行からの評価が悪くなってしまっていることがあり得ます。

特に借入をしている・今後借入を考えているお客さまに対し、最終的には同じ業績であっても、より評価が高くなる決算書を提案することができます。

(決算書の評価を上げるのは、あくまでも認められた会計基準の範囲内で行います。粉飾はご協力できかねますので、ご了承くださいませ)

■ 会社にお金を残す方法をご提案

利益が安定して出ているお客さまに対し、節税のご提案を積極的にいたします。

ただし会社の一番の目的は「きちんと儲けて、会社にお金を残すこと」であると私は考えております。

いわゆる節税策の中にはお金が出て行ってしまうものが多く、結果的に決算書の評価が悪くなってしまうことがあります。

その会社さまにどれだけの資金が必要なのか、その方策をとった場合に決算書がどんな評価になるのか、お客さまとコミュニケーションをとりご希望をお聞きしながら、その会社さまに一番望ましい方法を提案いたします。

■ 税額控除に強い

税制は毎年改正が入りますので常に勉強が必要です。

私は税額控除(固定資産を買ったり、従業員の給与が上がったりすると税金が安くなる制度)も得意としており、その地域限定の制度を調べ、1,000万円超の税額控除のご提案をしたこともございます。

さすがにその規模の控除を受けられる会社さんはそうありませんが、格安の税理士事務所に依頼して、知識のない方が申告書をつくった結果適用をのがすといった事例も起きています。

税額控除は「やっぱり受けます」と後から受け直すことができないものがほとんどですし、小手先の節税よりも税金が直接的に減りますので、適用をのがさず常に最適な処理することをお約束いたします。

■ レスポンスが早い

常に素早く、具体的には1営業日以内に返答することを心がけております。

お問い合わせいただいた場合、調べるのにお時間をいただくこともございますが、必ず回答をお返しいたします。

保留になったまま結局回答をもらえなかった、などということは決していたしません。

■ クラウド会計ソフトなど、最新のソフトにも柔軟に対応

以下のものを導入しています。

また、なにかご希望のサービスがある場合、仰っていただければ柔軟に対応させていただきます。

(セキュリティの問題などでご希望に沿えない可能性もございますが、特に理由なく断ることは絶対にいたしません)

freee(クラウド会計ソフト)
MFクラウド(クラウド会計ソフト)
Crew(クラウド会計ソフト)
Skype
チャットワーク
Facebook、Twitter、Pinterest、LINEなどのSNS

■ 会計ソフトを強制しません

税理士事務所の都合で会計ソフトを強制することはいたしません。

PDFやExcelで出していただくなど、出力のしかたでお願いをすることはございますが、原則としてお客さまのご希望のソフトを無理やり変更させることはございません。

■ 専門用語を使わず、わかりやすく説明

専門用語を極力使わず、噛み砕いてご説明することを心がけています。

税金はやたらにややこしく作られているようなところがありますので、わからない部分があって当然なのです。

お客さまが立ちどまっているようであれば、一緒に立ちどまって、懇切丁寧に説明をつくします。

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これはそれぞれの方の感じ方次第なのでなんとも言えませんが、「話しやすいね」と言っていただけることが多いです。

この点についてはブログやプロフィールを読んでいただくと判断の材料になるかと思います。

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・わかりやすい資料が上がってくる(決まった様式の資料でなく、どのような資料がお客さまの胸に響くのか、ご希望をお聞きしながらカスタマイズいたします)

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・事業計画書(経営計画書)の作成支援ができる

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・相続や贈与の相談に対応できる

・自社ホームページの相談にのれる(当ホームページは業者に頼まず、谷口本人が設立・運営しております。ご自分でホームページを運営することを検討されている方は多少はお力になれるかと)

【資格】

・税理士(東京税理士会神田支部所属 第131301号)

・中小企業庁 経営革新等支援機関

・日商簿記検定1級 合格

・宅地建物取引主任者 試験合格

・カラアゲニスト(唐揚検定合格者に与えられる名誉ある称号)

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