昨年末の大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で契約結婚が話題になりました。ところが、配偶者控除や扶養控除の制度は、契約結婚や同居している同士で活用することが出来ないようになっています。また、扶養控除もある一定の年齢に達した子供がいない場合は活用できません。配偶者控除や扶養控除のややこしい決まりごとを税務のプロが解説してくれました。
収入の少ない家族を養うと色んな控除を受けられる
収入が少ない奥さん(配偶者)や子供らと一緒に生活をしている場合、その生計を支えている人の所得税や住民税が安くなる制度があります。
- 配偶者⇒配偶者控除
- 子供など⇒扶養控除
と呼ばれる制度ですね。
所得税の計算をする際、配偶者控除であれば最大38万円、扶養控除であれば38~63万円を所得から引いて、税金の計算をすることが出来ます。(住民税の場合にはちょっと控除額が少ないです。)
年収500万円のサラリーマンの場合、配偶者控除を受けることが出来れば年間で所得税が38,000円、住民税が33,000円ほど少なくなるので年間で70,000円以上も税金が少なくなるんですね。
結構大きな金額になるので、控除を受けられるか受けられないかで、フトコロ事情も相当変わってくるのです。
ただ、収入が少ない家族を扶養していたとしても必ずしも控除が受けられるわけではありません。
配偶者控除や扶養控除が受けられない、代表的な3つのパターンをご紹介します。
中学生までの子供は扶養控除は受けられない
子供がいれば、誰でも扶養控除が受けられると思っている人がいますが、実は中学生までの子供は扶養控除を受けることが出来ません。
中学生までの子供は税金上では「年少扶養親族」と呼ばれます。(平成28年分の税金を計算する場合には平成13年1月2日以後に生まれた子供です)
なぜ扶養控除が受けられないかというと、この子たちには「子ども手当」というものは支給されているからなんです。
- 3歳未満の子供、第3子以上の子供⇒月額15,000円
- それ以外の中学生までの子供⇒月額10,000円
- 親の年収が960万円以上の場合⇒月額5,000円(特例で給付)
というような内容で手当の給付を受け取ることができます。
「子ども手当があるので扶養控除はなくてもいいでしょ」という理屈から、中学生以下の子供は扶養控除の対象とはならないのです。
専従者給与をもらうと配偶者控除や扶養控除は受けれない
個人で事業をやっている人の中には、家族と一緒に仕事をしている人もいるでしょう。
そのような場合に一定の手続きをとれば、家族であってもお給料を支払うことが出来ます。
それが専従者給与と呼ばれるものなのですが、専従者給与を支払った場合には、その人の配偶者控除や扶養控除を受けることが出来ません。
例えば、奥さまに専従者給与を1か月あたり80,000円支払っていたとします。
年間では96万円ですので、103万円以下におさまります。
一般的なパートなどのお給料の場合であれば年間で103万円以下ですので、配偶者控除を受けることが出来ます。
パッと見た感じではいけそうな気がするのですが、実はダメなんです。
専従者給与を支払った場合には、専従者給与を支払った人の配偶者控除や、扶養控除は受けることが出来ないんです。
専従者給与と配偶者控除は、ダブル控除が出来ないようになっているんです。
扶養控除は親族限定、配偶者控除は内縁はNG
最近は家族のありかたもいろいろ多様化しています。
シェアハウスで家族以外の人と生活をしている人もいますし、法律的な結婚というカタチにこだわらないカップルもいます。
ただ、配偶者控除や扶養控除といった税金の制度においては、法律的に家族というカタチでなければ、控除を受けられないということになっています。
基本的に扶養控除であれば、親族(6親等以内の血族または3親等以内の姻族)でなければNGですし、配偶者控除は戸籍において婚姻関係でなければダメです。
- ▼シェアハウスで同居している友人の収入が少ないから自分が生活費を負担している
- ▼結婚というカタチに縛られたくないので彼女とは同棲しているだけ
- ▼人間並みに食費がかかる我が子同然のワンちゃんがいる
このような場合、実質的には生活費を出して養っているかもしれませんが、法律的な関係が無いので配偶者控除や扶養控除を受けることが出来ません。
この場合は、里子や生活援助しているお年寄りなど、一定の要件を満たさなければ認められないようになっています。
従って、これらの控除を受けるためには「法律的に家族になる」という手続きをしなければダメです。
あ・・・ワンちゃんは無理か。
ちなみに2016年に流行った「逃げ恥」の契約結婚の場合、実際には婚姻届を出していないので配偶者控除も扶養控除も受けられません。
あしからず・・・。