何かと入用な年末年始。個人事業主であれば、縛りが全くないので、複数のバイトを掛け持ちすることも可能です。
個人事業主が年末の小金稼ぎでアルバイト実施
年末年始は何かと物入りで、出費がかさんでしまうこともよくあります。
特に個人事業主の方だと、「そんな時期は小金稼ぎのアルバイトをしよう。」と考える人もいるのではないでしょうか。
サラリーマンの副業
サラリーマンはもともと副業を禁止している会社が多く、やるにしても会社にバレないようコッソリする必要がありました。
個人事業主の副業
それに比べ、個人事業主はそのような縛りは全くないので、複数のバイトを掛け持ちするなんてことも可能です。
では、個人事業主は、アルバイトとして雇用される場合と、業務委託でお金を貰う場合で、どちらのほうがオトクなのでしょうか?
考えてみましょう。
給与と業務委託料どちらで対価を貰えば良い?
例えば、ウェブデザイナーで個人事業主のAさんが、12月に知り合いの会社で、ウェブ管理のアルバイトをさせてもらうことになったとします。
- アルバイト代(給与):時給2,000円×8時間×15日=240,000円
- 業務委託料(事業):240,000円
この場合どちらで対価を支払ってもらうのがお得なのでしょうか?
簡便化のために、Aさんは他に給与としての収入が無かったと仮定しましょう。
給与収入には、所得税を計算するときに差し引くことができる“給与所得控除”という制度があり、この控除の最低額が65万円となっています。
そうすると240,000円-650,000円≦0となり、給与所得は0円となります。
一方、240,000円を業務委託料としてもらうと、個人事業の収入として取り込まれます。
もともと事業の利益が赤字、若しくは黒字でも140,000円までであれば、240,000円を足しても38万円となって、基礎控除(38万円)以下となります。
さらに青色申告を選択して、青色申告特別控除65万円が適用できれば、およそ80万の利益でも控除額以下となり、所得税は発生しないことになります。
それを超える利益が出ていた場合には、例えば扶養控除や社会保険料控除など、他の控除金額で賄えなければ、税金が発生することになります。
所得税だけではなく消費税も加味して考えよう
これらに加えて、所得税だけでなく消費税の問題もあります。
そもそも、今年の売上が1,000万円を超える課税事業者であれば消費税の納税額は増えてしまいます。
免税事業者だとしても、今年の売上が976万円以上だと、24万円が上乗せされれば1千万以上となり、翌々年の納税義務が発生してしまいます。
これらを総合的に加味すると、
- 給与所得ゼロの場合:給与としてもらうのがオトク
- 個人事業主として赤字もしくは基礎控除以下の黒字:給与もしくは業務委託料どちらもOK
- 個人事業主として青色申告特別控除65万円が適用可能:控除の範囲内なら給与もしくは業務委託料どちらもOK
- 課税事業者もしくは今年の売上が976万円以上の免税事業者:どちらにせよ納税義務発生
ということになります。
自分の年商や適用している控除に応じて、柔軟な形で対価をもらうことが必要と言えるでしょう。