経営者といえば、一般的にお金持ちで大豪邸にも優先的に住めるイメージを持たれやすいものですが、実際のところは、会社の状況次第でサラリーマンより、住宅ローンを組みにくいのが現実です。経営者の方にお勧めな住宅ローンは果たして無いのか?敏腕ファイナンシャルプランナーが、マル秘テクニックを教えてくれます。
経営者だから皆が金持ちというわけではない
先日の次期アメリカ大統領戦で大逆転勝利したドナルド・トランプ氏。
トランプ氏は、不動産会社のオーナー経営者としても以前から有名で、ニューヨークの超高級マンション生活なども話題になっていましたね。
さて、「経営者」「会社社長」というとどんなイメージでしょう。
トランプ氏ほどではないにしても、都心の億ションに住んでいて、当然車はベンツのSクラス。食事は一流レストランで…
こんなふうに、経営者といえば、「お金持ち」のイメージもありますが、もちろん全ての経営者がそんなセレブな生活をしているわけではありません。
「男はつらいよ」のタコ社長のように、日々資金繰りに迫られている経営者も、決して少なくありません。
会社がうまく行っていても、そうでなくとも、雇用されているサラリーマンよりも経営者のほうが何かと気苦労が多いものです。
特に中小企業の経営者の場合、住宅ローンを借りる際に社員より社長のほうが苦労する、というケースもあります。
一体どういう事なのでしょうか。
住宅ローン審査で経営者は何を見られるの?
経営者が住宅ローンを組む場合、経営している会社の財務状況も見られることがほとんどです。
一般的には3期分の決算書、納税証明書などの提出を求められることが多いようです。
もちろん個人としての収入エビデンス、源泉徴収票などの提出も必須。
自身の役員報酬が高くても会社が赤字続きだったり、起業したばかりだったりすると、審査はかなり厳しくなります。
また、一時的に手元のキャッシュが足りない月などに「今月は報酬は受取らない」「社長個人から会社に貸し付ける」といった話はよくありますが、その結果年収が毎年大きく増減していると、住宅ローン審査ではアウトです。
経営者が通りやすい住宅ローンは存在するの?
このように金融機関から見ると「収入はほどほどで安定したサラリーマン」よりも「収入は高いがブレる経営者」のほうが低い評価になってしまいがちなのですが、そんな経営者でも比較的審査が通りやすい住宅ローンがあります。
それは「フラット35」。住宅金融支援機構の長期固定ローンです。
審査には申込者の確定申告や源泉徴収票が必要ですが、会社の決算書は不要です。つまり個人の収入だけで審査が可能なのです。
しかも提出する源泉徴収票は2年分。起業して年が浅くてもきちんと報酬を受取っていればローンは通ります。
前年比で大幅ダウンだと厳しくなりますが、原則、直近の収入が返済率をクリアしていれば多少の減額も問題ありません。
借換えにも利用できるのがフラット35の長所
自宅を購入した時、「起業してまだ間もなかったので、変動でしかも金利が高かった。」といった話もよく聞きます。
数年たって経営も安定してきたが、なかなか手が回らず住宅ローンはそのままになっている、という方もいることでしょう。
こんな場合は、フラット35で借り換えすることもできます。
変動&高金利から固定&低金利に換えることができるので一石二鳥。デメリットは何もありません。
個人事業主の住宅ローンは社長より厳しい!?
では、同じ起業家でも「個人事業主」の場合はどうでしょうか?
実は「会社経営者」と「個人事業主」 では審査が大きく違います。
銀行でもフラット35でも、個人事業主の収入は「所得」で返済比率を見られます。
売上高から必要経費を引いた後の金額(=所得)なので、低く抑えられている可能性があります。
売上高がいくら1000万円でも、同じ額の経費がかかっていれば所得はゼロ。当然住宅ローンは組めません。
一部売上ベースで見てくれる金融機関もあるにはあるのですが、金利はかなり高いようです。
個人事業主の方が住宅ローンを組む時は、その3年前から所得を高く調整する必要があります。
「家を買う」と決めたら、しばらくは納税覚悟でキチンと確定申告しましょう。
ローンを組む場合は客観的にベストなものを!
日銀が導入したマイナス金利政策の影響で、住宅ローンの金利が低い水準で推移しています。
都心部のマンション価格が一部高騰しているとはいえ、金利や制度の面から見れば、今の住宅は買い時と言えます。
社長が住宅を購入する時、まず最初に取引している金融機関に相談するかもしれません。
普段の取引実績によって優遇してくれる、という可能性も無くはないですが、視野を広く持って、他の金融機関やフラット35など幅広い選択肢の中からベストな住宅ローンを選んでいただきたいと思います。