三井住友銀行が航空券融資を証券化し、グループ内のリース会社が保有する航空機を販売することが報道されました。一連のビジネススキームはタックスリースと呼ばれており、証券化されたリース資産の購入は投資家にとって効果の大きな節税対策となります。しかし、タックスリースはリスクのある商品であり、慎重な投資判断が求められることを忘れてはなりません。
三井住友銀行で飛行機が買えるだと?!タックスリースの仕組
三井住友銀行が航空機融資を証券化すると報道されており、更にグループ内のリース会社が保有する航空機も販売する予定ということです。
このようなビジネススキームは、一般的にタックスリースと呼ばれています。
タックスリースは、高額な実需商品をリース資産として証券化し、ファンドで共同購入することにより、投資家が所得への課税を繰り延べることが可能な取引です。
ワンショットの取引額が高額なため、効果の大きな節税商品として近年非常に売れており、金融機関の多くもこれで相当稼いでいるはずです。
しかし、タックスリースにはリスクも存在します。以下、説明していきましょう。
タックスリースが抱える2つのリスクとは?
タックスリースが抱える1つ目のリスクは、万一課税当局にこの商品の利用が租税回避行為とみなされ、節税効果が認められないことです。
ただし、タックスリースは上場企業中心の金融機関によって販売されていますから、そう簡単に租税回避行為とみなされぬよう準備されている可能性が高いでしょう。
2つ目のリスクは、タックスリースの購入者が抱えるリスクです。
それはリース期間終了後に、航空機を売却するときに生じます。
航空機は中古市場が発達しているため、安定した金額で、安定して中古機が売却できることが前提となっていますが、万一、これが売却できないと、購入者は大きな損失を抱えるリスクに立たされます。
ただし、航空機そのものを証券化して売却してしまえば、航空機のプロでない投資家が中古航空機を買ってくれますので、これによってリスクは幾分ヘッジされ、転売されれば手数料収入でリース会社も潤います。
しかも、利回りは銀行預金もよりもずっと高く、投資家にとってはメリットがあり、win-winの関係ができる、とも言えます。
とはいえ、賢明な読者の皆様なら既にご理解されているように、“利回りが高い”ということは“リスクもその分高くなる”ということを忘れてはなりません。
一般投資家がリスク判定を行うのは無理がある
中古機を買ったものの、利用してくれなければ、投資家は大損です。
航空機のプロであれば、そのあたりの目利きはできるでしょうが、一般投資家にそのリスク判定をさせるのはかなり難しい可能性があります。
新しい金融商品が増えるのは歓迎ですが、そのリスク判定をきっちりできないと、ババをつかまされる可能性が高いことはあらためて認識をしておきたいところです。