「加算税」は、通常の期日どおりに適正に申告・納税を行わずに発生する罰則制度です。ペナルティで課せられる金額が大きいため、納税をしない会社にとっては、支払いが生じた時に命取りな制度ですが、今年の改正においては、更にペナルティがきつくなりました。その内容をご紹介いたします。
納税しない企業を窮地に追い込む加算税制度
通常の期日どおりに適正に申告・納税を行わずに発生する罰則制度といえば、「加算税」です。
申告期限に間にあわなかったり、または納税金額に誤りがあった場合には、所得税・法人税等の税額に上乗せして「加算税」を支払う必要があります。
厳しい場合には、通常支払う税額に対して、元々の税額に最大で40%を加算した額で支払いが命じられてきたため、会社にとっては命取りな制度でした。
さて、平成28年度の改正においては、この加算税制度について見直しが行われました。
果たしてどのような改正が行われたのか?その内容をご紹介いたします。
加算税制度の改正内容は厳しいものとなった
改定内容は以下の通りです。
1)税務調査の事前通知後に修正申告した際にも加算税支払い義務
これまで税務調査の事前通知後であっても、実際に調査が始まる前に、提出済みの申告書に自ら誤りがあったことに気付き、自主的に修正申告をした場合には、原則として、過少申告加算税は課されていませんでした。
また、期限後申告または修正申告に基づく無申告加算税は5%が適用されていました。ところが、今回の改正により、過少申告加算税および無申告加算税について税率が引き上げられました。
例えば、税務調査の事前通知があった後に、自主的に修正申告を行った場合でも、加算税が課せられることになります。
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
過少申告加算税 | 0% | 5% |
期限後申告または申告に基づく無申告加算税 | 0% | 10% |
2)加算税の加重措置の導入
悪質な行為を防止するため、過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課せられたものが、再び「無申告または仮装・隠蔽」に基づく修正申告書の提出を行った場合については、加算税を10%加重する措置が導入されます。
通常 | 5年以内に繰り返した場合 | ||
---|---|---|---|
無申告の場合 | 無申告加算税 | 15% | 25% |
仮想・隠蔽の場合 | 重加算税(過少・不納付) | 35% | 45% | 仮想・隠蔽の場合 | 重加算税(無申告) | 40% | 50% |
法人税の引き下げというアメと並行したムチのような加算税の改正
このように、加算税制度は更に強化され、税金の未納によるペナルティは大きくなりました。
たとえ修正申告したあとでもペナルティが発生することになりましたし、仮想・隠蔽をしておきながら無申告の場合は、元々の税額に50%を加算した額で支払いが命じられます。
元々の税金が500万円だった場合は、重加算税が250万円追加となり、750万円の支払いが生じるのです。更にここへ延滞税が発生すると…
法人税の引き下げと同時に、国は今回の措置を実施しました。まさにアメとムチです。
とはいえ、日本国内に籍をおく企業であれば、税金の支払いは免れられるものではありません。
「最大の節税は納税すること」という大前提を、私達は意識する必要があります。