会社を立ち上げる時は、様々な準備を経た上に、何かと費用がかかるものです。
しかも費用は設立前から発生するため、この際にかかる費用は「創業費」として経費算入が認められます。
ただし、「会社設立よりどれくらい前の費用まで経費算入できるのか?」という問題については、意外と判断が難しいものです。
税務のプロにこの判断をどうすれば良いか解説してもらいました。
新設法人を立ち上げるには何かと費用が掛かる
新設法人を立ち上げビジネスを開始するためには、法務局での登記作業や、オフィスの契約、電話やインターネットの契約など様々な準備が必要となります。
法人の設立日は法務局への登記申請日となるのですが、企画を練るなど法人の設立前から、ビジネスはスタートしていることが通常です。
ここで問題となるのが、設立日からどの程度の期間に払ったものであれば認められるのか?という事です。
本日はこの疑問について解説していきます。
創業費には創立費と開業費というものがある
会社設立に掛かる費用とは例えば、
- 定款や諸規則の作成費用
- 創立事務所の賃借料
- 設立事務に使用する使用人の給料
- 創立総会に関する費用その他会社設立事務に関する必要な費用
- 発起人が受ける報酬
- 設立登記の登録免許税等
のことです。
具体的には、
- 土地、建物等の賃借料
- 広告宣伝費
- 通信交通費
- 事務用消耗品費
- 支払利子
- 使用人の給料
- 保険料
- 電気・ガス・水道料等
を指します。
国税庁は創業費の経費算入にどう言及してる?
国税庁は「創業費」という科目に対して、設立日からどの程度の期間に払ったものであれば、経費算入を認めているのでしょうか?
〈法人税基本通達2-6-2〉法人の設立期間中の損益の帰属
法人の設立期間中に当該設立中の法人について生じた損益は、当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することができるものとする。
ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の損益又は当該法人が個人事業を引き継いで設立されたものである場合における当該事業から生じた損益については、この限りでない。
黄色部分が要旨です。噛み砕いて表現しますと、
1)設立期間中の経費などは、設立第1期目の計算に含めてもオッケー。
2)ただし、常識的な設立期間より長くさかのぼっての計上はいけません。あと、個人事業主が法人化する場合には、設立前の費用などは個人事業の方に含めてくださいね。
こんなニュアンスです。
結局、創立費計上は何ヶ月前まで遡れるのか?
結局のところ、創立費は何ヶ月前まで遡って、経費計上できるのでしょうか?
法人設立は、スムーズにいけば2~3週間もあれば事足りますが、どんなに長くとも1ヶ月程度でしょうね。※合同会社、株式会社の場合
つまり、設立日前1ヶ月程度前の領収書であれば「創立費」としての計上には、問題ないものと考えます。
では、1ヶ月以上前の経費はどうなのでしょう?
これは税理士によって見解の別れるところです。3ヶ月までという人もいれば半年まで大丈夫という人もいます。
これは完全なグレーゾーンです。
もしも、1ヶ月以上前のものを経費算入するのであれば、会社設立のためにどうしても必要である旨を、説明できるようにしておくことが最低限必要でしょう。
もちろん、さかのぼる期間が長ければ長いほど、難易度が高くなることを付け加えておきます。