代表者借入を早期に解消したい時に活用できる3つの対策方法

資産運用

 多くの中小企業では、特に創業期に、代表者が自己資金によって運転資金等の穴埋めをすることで、会社を存続させているケースがあります。ただし、借入金が長いスパンで貸借対照表から消えないことは、特に対銀行において、あまり融資で良い条件を引き出せない要因となる場合があります。そこで早期に代表者借入を解消する方法を、税務のプロが3つ紹介してくださいます。

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中小企業は代表者からの借入に頼る場合が多い

 中小企業は資金繰りの都合上、代表者が自己資金によって運転資金等の穴埋めをしている場合が多々あります。

 この場合、法人にとっては代表者(個人)からの借入金が、貸借対照表に計上されていることでしょう。

 一方で代表者(個人)としては会社への貸付金ですので、仮に相続が発生した場合には相続財産となります。

 本日は、この代表者の貸付金(以下、代表者貸付)の解消対策について、まとめていきたいと思います。

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代表者借入を解消する3つの対策方法をご紹介

対策1:借入を資本金に組み替え(DES)

1)DESとは?

 対策としてまず考えられるのが、デット・エクイティ・スワップ(Debt EquitySwap、DES、通称「デス」)という方法です。

 代表者貸付をその会社に現物出資することにより、増資をするというものです。

 通常、増資をする場合には金銭出資により行いますが、その代わりに貸付金で賄ってしまおうということです。

 代表者はDESにより新株を取得することになります。

 当然株式も相続財産となりますが、多くの場合株式とした場合の方が相続財産としての評価額が低いので、相続税対策となるわけです。

2)会社側ではどうなる?

 メリットとして、財務状態の改善が挙げられます。

 上述のとおり、代表者貸付は会社の負債として計上されていますが、DESを行うことにより資本(純資産)に振り返られます。

 負債が減って資本が増えたのであれば、財務状態が改善しているのはすぐにお分かりになることでしょう。

 デメリットとしては、法人事業税の「外形標準課税」の対象となってしまう可能性があるということです。

 資本金が1億円以下の法人の場合、事業税は「所得=(もうけ)」に対して課税されます。

 一方、外形標準課税の対象法人となった場合には所得だけではなく、「付加価値割」と「資本割」という税額が加算されます。

 相続税の節税額と法人での納税額のバランスを、事前にシミュレーションしましょう。

対策2:債務免除

1)債務免除とは?

 その名のとおり、債務を免除することです。

 DESとは異なり、新たな資産が代わりに増加する訳ではありませんので、免除した金額だけ相続財産が減少することになります。

2)会社側ではどうなる?

 借入金の返済義務がなくなりますので、その分だけ利益(債務免除益)が計上されることになります。

 相続税額と法人税のバランスをとらないと、かえって納税額が増えることになりますのでご注意ください。

 また、債務免除益が計上されることにより会社株式の価値が増加した場合、その増価額は他の株主に対する贈与となりますので、贈与税が課税される可能性も考慮しておく必要があります。

対策3:贈与

 代表者の貸付金を子供や孫に対して贈与するという対策です。

 贈与に関しては年110万円までは贈与税が課税されませんので、この枠を上手に活用しましょう。

 注意点として、「当初からまとまった金額を贈与していく計画だった」と税務署に認定されてしまいますと、毎年の贈与額が110万円以下であっても贈与税が課税されてしまうことがあります。

 対策としては、贈与契約書の作成やあえて少しだけ110万円を超えて贈与し、贈与税の申告納税をする等といったものがあります。

 実態によって対策は異なりますので、専門家に事前に相談していただきたいところです。

 また、この対策は上記の対策1及び対策2と平行して行うことができますので、併せて検討してみてはいかがでしょうか。

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少しでも早い時期に対策を打つほうが吉と出る

 さて、いかがでしたでしょうか。

 平成27年より相続税の基礎控除額等が引き下げになったことに伴い、これまで相続税の対象とならなかった方も納税の対象となりました。

 相続税の対策は、「時間を味方につけること」が最大の効果を産みます。

 少しでも早い時期から対策を始めるようにしてください。

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カナリ総合会計事務所

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代表税理士 金成 茂樹(かなり しげき)

「経営者が本業に100%専念できる環境づくり」が経営理念。
理念実現のために、近年はクラウド会計の普及による「会計の自動化」に尽力している。

毎月面談を強要する旧来型の税理士の在り方に疑問を感じており、これを廃止。
ITを駆使することにより「必要時に必要なアドバイス」を提供。経営の合理化に努めている。

2005年 大原簿記学校 入社 消費税法講師担当
2008年 KPMG税理士法人 入社
2010年 荒井税理士事務所 入所
2013年 税理士登録(登録番号:124636)
2014年 カナリ総合会計事務所 開業

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