資金繰りに困っているのに、なぜか「節税したい」「税金は払わないほうが良い」と考えている経営者が、この世の中には数多く存在しています。損金対策の投資商品が大好きで、保険やリース商品にすぐおカネを出す、このような経営者の殆どがその後の資金繰りを全く考えていません。ではどうすれば良いの?という話をショーンが解説します。
「資金繰りは悪いけれど節税はしたい」の矛盾
はじめまして。ショーンです。
諸事情ありまして本名では執筆ができないので、こちらでは「ショーン」と名乗らせていただきます。ニックネームは、私の大好きなスノーボーダーであるショーン・ホワイトから拝借しております。
ご縁あってこちらで記事を書かせていただくことになりましたので、ショーンのように高い目線で、経営者の方が高く飛び立つために気づきを与えられる記事を提供したいと思います。
私はこれまで金融機関、会計事務所、事業会社の経理責任者という立場で、様々な中小企業の経営者の方々にアドバイザーとして接してきました。
その中で気がついたことがあります。それは、資金繰りに苦しんでいる経営者の多くが「税金は払わない方がいい」という信念というか、強い思い込みを持っているという事実です。
この考え方、凄く矛盾していますし、改めないと、そのような人はいつまで経っても貧乏社長のままです。
なぜ「資金繰りに悩んでいるのに節税したい」という思い込みは矛盾しているのか?じゃあどうすればいいの?という話を今日はしてみたいと思います。
節税対策で投資商品を買って喜ぶのは営業マン
日本の中小企業の半分以上が赤字、つまり法人事業税を支払っていないという統計にもある通り、この国では税金を出来るだけ払わないことが企業経営の一つの重要な要素のように語られ、「節税」としてその手法を指南している税理士も多くいます。
もちろん不要な税金は払う必要はありませんし、使える節税策は活用すべきです。
しかしながら、決算時期になるとなんとしてでも決算を黒字にしないように、あの手この手で損金を捻出しようとするやり方は、結局はその企業の資金繰りを悪くするだけです。
これに気がついてない経営者の方が余りにも多すぎます。
方や世の中には、古くは航空機リース組合から最近では太陽光発電投資まで、損金に出来ることをうたい文句にした投資商品があふれています。
経営者向けの保険商品の多くもこの部類です。これらの投資商品の収益計算には、損金参入できることによる節税効果がまるで収益であるかのように組み込まれています。
そして、なんとしてでも税金を払いたくないという信念を持つ経営者の方々は、これらの商品を売り込む営業マンからすれば格好の獲物です。
「それは良い案件だ!じゃあ入っておこう」と。でもこれで、貧乏な鈍行列車は倒産の駅に向かうノンストップ急行に変わります。
なぜなら多くの経営者が、加入時に資金繰りの算段をつけることを忘れているからです。目先の節税のために、中小企業にとって最も重要である資金繰りという観点を欠く意思決定は、やがて企業を窮地に追い込んで行きます。
心当たりはありませんか?
赤字では資金繰りのために銀行も手を貸さない
「ならば資金は銀行に借りればいいじゃないか」と言われる方もいらっしゃるかもしれませんが、銀行は赤字の会社に対して基本的に融資してくれません。
銀行から見ると、売上高に対して税引前利益が3〜5%以上あれば優良先、0.5〜2.5%で融資検討先、赤字の場合は貸し渋り対象となります。
会社には本当は黒字決算をする実力があったとしても、目の前の節税のために赤字決算にしてしまうことで、将来的に銀行から融資を受けられないことになります。
資金繰りに困って、「あの時、節税のために投資しなければよかった」「あの商品に毎月払う料金、解約料いるの?えっ、解約料高っ!」と後悔しても後の祭りです。
出て行ったお金は、貴方の元に戻ってくることはありません。
資金繰りが良くなる最良の方策は”稼いで納税”
確かに日本の法人税率は低くはないと思いますが、企業にとっての血液である資金繰りを犠牲にしてまで税金を払わないという信念を貫く必要はありません。
目の前のわずかばかりの節税と、将来の資金繰りを天秤にかけると、多くの場合では将来の資金繰りの方が重要だということになるのではないでしょうか。
じゃあ、どうすれば良いの?という話になりますが、答えは簡単です。
社長、まずは稼いで稼いで稼ぎまくって、ちゃんと税金を払いましょう!
それが資金繰りを良くするための最善策です。