誰でも名前を思いつく、「超」がつく大富豪に共通している行動は、(公益)財団法人を設立したことです。財団法人を作るメリットは2つありますが、一体どのようなものでしょうか?
批判を浴びやすい財団法人ですが、行政の手が届きにくい部分で、彼らが社会に貢献していることは見過ごせない事実であり、お金持ちほど社会貢献できるというのは、言い得て妙でしょう。
超がつく大富豪は必ず財団法人を作っている
古くはアメリカのロックフェラー、日本なら三井家、住友家、三菱(岩崎)家、それにソフトバンクの孫さん。
皆さんに共通することは、超がつくお金持ち(大富豪)ということです。
これに加えて、もう一つ、彼らに共通していることがあります。それは、公益財団法人(以下、財団法人)を設立しているということです。
本日はこの点について、解説していきたいと思います。
超・大富豪が財団法人を作る2つのメリット
お金持ちの人は次のような形で財団法人を設立します。
- 自分が収集した美術品などのコレクションを拠出して設立
- 自己資金を拠出して設立
- 自社株を拠出して設立
いずれにしても多額の資産が自分の手元から離れてしまうわけですが、それでも彼らが財団法人を設立するメリットとは何でしょうか?
理由は、以下の2つに集約されます。
- 1)公益活動を行いやすくなる
- 2)税制上の優遇措置がある
まず1)の理由ですが、本当にお金を持っている人は、基本的に人としてゆとりが出来るので、非常に優しくなります。
お金持ちですから自分のことはなんとでもなる、というか金持て余してる暇あったら、一流の美術芸術を守りたい、弱者を守ることこそ自分の使命、この世の中を良くしたいと本気で考えるようになるのです。
そこで、芸術振興や災害復興支援・環境活動など、個人では限界がある活動についても財団を設立すれば、社会的な信用力が増すとともに継続的な活動が行えるから、じゃあやろう!となるわけです。
おぉ凄いな、やっぱり孫さん凄い!となるわけですが、これだけが理由ではありません。なぜならお金持ちはバカではありません。自分の資産を守ることに対しても、非常に賢いのです。
それが2)の税制上の優遇措置というメリットを理由に、財団法人を作る理由につながります。
財団法人を設立して公益性の高い活動を行う上で、最大のメリットは税制上の優遇措置です。
これは財団法人のみならず、財産を拠出する側にも及びます。
端的に言うと、
- 財団法人の法人税等の免除
- 拠出する側の贈与税・相続税・所得税等の免除や控除措置
というメリットを財団法人に財産を供出する場合、大富豪の一家は受けられます。
数億~数十億の資産を拠出して財団を設立すると、高額な節税メリットが発生することになります。
そのため一部では、税金逃れに使われているのではという批判があることも事実です。
デメリットはメリットに比べて非常に小さい
一方で、財団法人の設立には次のようなデメリットも考えられます。
- 公益性が認められなければ優遇措置を受けられない
- 公益認定をとるためのハードルが高い。またその後の維持運営も手間がかかる。
ただし、どれも決定的なデメリットとは言えず、初めからそれをクリアするように設立するため、享受するメリットのほうがはるかに大きいといえるでしょう。
とはいえ、彼らの資産は数兆単位です。大金持ちにしてみれば財団法人設立は、小さな節税手段の一つにしか過ぎません。
財団法人の手によって行政の手が届かない部分で、貴重な景観や文化が守られたり、人の命が助けたられたりしているのは大きな事実です。
お金持ちになればなるほど、社会に貢献できるというのは言い得て妙なのでしょう。