個人版の「ふるさと納税制度」とは任意の地方自治体に寄付することにより、寄付した額のほぼ全額が税額控除される税制度のことで、近年盛り上がりを迎えています。そしてついに、年末発表予定の税制改正大綱へ「企業版ふるさと納税制度」が盛り込まれる予定となっております。寄付金の約60%が税金から控除できるため、広告宣伝費や交際費と比較し、うまくバランスを取りながら利用したい制度と言えます。
企業版ふるさと納税制度が税制大綱に入る予定
「ふるさと納税制度」とは任意の地方自治体に寄付することにより、寄付した額のほぼ全額が税額控除される税制度のことです。
地方間格差や過疎などによる税収の減少に悩む自治体に対しての格差是正を推進するための制度として2008年に開始され、利用者数は2014年には10万人、納税総額は100億円を超えるなど、着実に裾の尾が広がっています。
そしてついに、年末発表予定の税制改正大綱に「企業版ふるさと納税制度」が盛り込まれる予定となっております。
そこで今回はその原案についてご説明いたします。
現行の寄付金制度の節税効果はどれ位ある?
現行の税制でも法人が市区町村等の地方公共団体に寄付をした場合には、その寄付金を全額経費に計上できる制度が存在します。
寄付金は全額経費に計上できるため、寄付金の金額の約30%の節税効果が得られることとなります。(法人実効税率を約30%と仮定しています)
この寄付金制度の節税枠をさらに拡充し、地方自治体の財源確保を図る為、「企業版ふるさと納税制度」が検討されているのです。
個人版・ふるさと納税制度の導入に力を入れた、菅義偉官房長官の肝いり制度であり、大都市に偏った法人税収を地方に配分することが狙いとされているようです。
企業版ふるさと納税の原案・減税効果は倍に
1)税額控除額
現行の原案では、地方自治体への寄付額の30%を、法人住民税などの税金から控除できるようになる予定となっています。
つまり現行の寄付金制度(寄付金の約30%の節税効果)と合わせて、寄付金の約60%が税金から控除できることとなります。
2)対象となる寄付
政府の「地方版総合戦略」に基づき、地方自治体で作成した地域活性化の具体的な事業計画のうち、政府が認定した事業に対して行われた寄付が対象となる予定です。
主に子育てや雇用など、地方活性化に効果が高いと政府が認めたものが認定される予定です。
ただし、寄付する法人の本店所在地への寄付や財政的に豊な自治体(東京都や国から地方交付金を受け取っていない自治体)への寄付は、対象から除かれる予定となっています。
この新制度が成立すると、早ければ平成28年4月の寄付から適用となる可能性もあります。
注意点を1つあげるとすれば、企業版ふるさと納税は寄付金にあたり、収益や宣伝の見返りを求めることは難しいものです。
広告宣伝費や交際費と比較し、うまくバランスを取りながら利用したい制度と言えます。