従来から「富裕層」については、税務署でその資産状況等の管理等がされています。最近の資産運用の多様化等により、昨年から大都市圏の国税局では、特に重点的に管理すべき「超富裕層」に対するプロジェクトチームを組むなどして「超富裕層」の管理・調査体制の強化を図っています。税務署による超富裕層の資産状況の管理体制について概要をお伝えしたいと思います。
超富裕層!?の資産状況が見張られている?
従来から「富裕層」については、税務署でその資産状況等の管理等がされています。
最近の資産運用の多様化等により、昨年から大都市圏の国税局では、特に重点的に管理すべき「超富裕層」に対するプロジェクトチームを組むなどして「超富裕層」の管理・調査体制の強化を図っています。
今回は「超富裕層」に対する税務署の管理体制を記載いたします。
ちなみに参考までにですが、株式会社野村総合研究所(以下:野村総研)が公表した推計結果によると、「富裕層」は一世帯の純金融資産保有額が1億円以上5億円未満を、「超富裕層」は5億円以上としています。※1
現時点でご自分が対象である場合はもちろん、これからそうなる予定の方も把握しておいて損はないです。
税務署による超富裕層の資産把握術はこうだ!
税務署による超富裕層の資産状況の管理は、以下のような概要で行われています。
(1)管理する目的
いわゆる超富裕層については、所得課税のみならず、相続対策を含めた資産課税の観点が意識されています。中長期的な管理をすることなどで、総合的な調査を実施できる体制を整備することが目的です。
(2)資産はどこで管理されているか?
現在は東京国税局、大阪国税局、名古屋国税局で行われており、今後、全国的に行われることが見込まれております。
(3)超富裕層に指定されるのは?
次のいずれかに該当する者が超富裕層として指定されます。
- A形式基準:見込保有資産総額が特に大きい者
- B実質基準:形式基準に該当しない者のうち、一定規模以上の資産を保有し、国際的租税回避行為などの問題が想定されるなどの者
やはり明確な金額は公表されておらず、「資産総額が大きい者」という曖昧な表現になっているようです。先述の野村総研発表基準を、あくまで参考に把握しておければよろしいかと思います。
(4)超富裕層に指定されると?
情報が筒抜けに近い状態になりますので、課税上、当然不利に働いてくるもの思われます。
(5)指定されると解除されないのか?
一定の要件を満たせば当然解除されます。ただし、そこまでに収集した情報は局内の関係部署に提供されることとなっています。
国は超富裕層に対する課税を厳しくする方針
野村総研の発表によると、2011年に44兆円・5万世帯だった超富裕層の資産状況は、2013年時点で74兆円・5.4万世帯と、わずか2年で資産が70%も増加しています。
国にとって見れば、超富裕層への課税は至上命題の1つと言えるでしょう。
将来的には出国税が創設されるなど、富裕層、超富裕層に対しては更に課税が厳しきなることが予想されます。
もちろん超富裕層も、ただ手をこまねいているだけではなく、資産を守るべく節税対策に勤しむことでしょう。
※参照元
株式会社野村総合研究所「日本の富裕層は101万世帯、純金融資産総額は241兆円」
https://www.nri.com/jp/news/2014/141118.aspx