税金には、「社会の会費」「富の再分配」「景気調整」といった様々な役割が与えられていますが、更にもう1つ、税金には重要な役割があります。それは「政策実行のコントロール」という、税金のかけ方によって、国民の行動をコントロールしようという役割です。この目的により世界各国では、様々な商品・サービスに税金がかけられています。一例をご紹介しましょう。
税金には様々な意味と役割が込められている
税金には様々な役割が与えられています。
子供たちに税金のことを教えるため、私も「租税教室」という学校の授業を担当させてもらってまして、その際に「税金は社会で生活をしていくための会費のようなものですよ~。」とお話をさせて頂いています。
道路や学校、病院や警察、ごみの処理や公園の維持などにお金がかかるので、それらをみんなで負担していくために、税金が必要であることを伝えています。
税金にはこういった「社会の会費」という役割以外にも「富の再分配」や「景気調整」という役割があります。
更にもう一つ、税金には重要な役割があります。それは「政策実行のコントロール」という役割です。
税金の「政策実行のコントロール」ってどんな役割?
「政策実行のコントロール」とは、税金のかけ方によって、国民の行動をコントロールしようというものです。
例えば、「たばこの喫煙率を下げたい!」という政策目標があったとします。
このような場合に、政府として「たばこは体に害を与えるので喫煙を控えましょう」というPR広告をするとか、様々な施策を考えます。
ただ、最もカンタンで手っ取り早い方法は、たばこ税を引き上げてたばこの小売価格を引き上げるコトです。
そうすれば、禁煙を始める人が増えるでしょうし、経済的に量を減らす人も増えていくからです。
このように、政策を目標に向かって実行するために税金が用いられることが良くあります。
たばこやアルコールの次は砂糖にも課税?!
たばこ税と似たような性格を持つものとしては、以下のようなものもあります。
- 酒税⇒お酒の飲みすぎを防ぐ
- 揮発油税(ガソリン税)⇒自動車の利用を抑制してCO₂の排出を抑制する
- 固定資産税⇒多くの不動産を持ちすぎていることへの抑制
もちろん、これらの税金が「政策実行のコントロール」のためだけに設けられているワケではありませんが、一方で政策をコントロールするうえで利用されている面があるのも事実なのです。
このような目的で、最近あるものに対して税がかけられようとしています。
あるものとは「砂糖」です。
たばこやアルコールに対しては現在でも課税されていますが、同じように砂糖についても課税していこうという発想です。
お菓子やケーキなどのスイーツや糖分が多いジュースやコーラなどにも課税をして、「消費を抑制」するということなんでしょうね。
牛のゲップに税金?!世界各国「政策実行のコントロール」による課税
突拍子もない発想かと思われるかもしれませんが、実は他の国には「政策実行のコントロール」で様々な税金が導入(導入予定)されています。
たとえば、ヨーロッパのハンガリーには「ポテトチップス税」というモノがあります。
2011年9月に施行された税金ですが、ポテトチップスのようなスナック菓子や砂糖が多い、炭酸飲料などのジャンク食品について税金が課税されるようになりました。
ちなみに、ポテトチップスには1キロあたり、約80円が課税されているようです。
だいたい市販のポテトチップス一袋が150グラムぐらいですから約10円ぐらい負担するような感じですかね。
同じヨーロッパのデンマークにも、脂肪を多く含む食品に対して「脂肪税」という税金があったことがあります。
対国民の健康増進のために導入されたのですが、国民が海外に買出しに行ってしまうなど消費に逆効果になってしまったため、現在では廃止されています。
また、中国では春節に配る月餅に対して課税する「月餅税」、ニュージーランドではメタンガスの増加につながるとして「家畜ゲップ税」なるものも検討されたことがあります。
ですので、砂糖に対して「メタボ税」なるものが創設されたとしてもおかしくはありません。
実際に、イギリスでは2018年から先述の砂糖税導入が検討されており、ジュースなどあらゆる砂糖の入った商品へ課税される日が近いと言われています。
兎にも角にも、税金が社会と密接につながっているというお話でした。