本記事では、えらいてんちょうこと矢内東紀さんの著者『しょぼい起業で生きていく』の要約と、レビューを紹介します。
本書では、スタートアップのようなイノベーションを起こすわけでもなく、大企業のように大きな利益を追求するわけでもない、「しょぼい起業」という概念が語られています。
「しょぼい起業」は、リスクを最小限に抑えた現実的な起業方法です。これから起業をしようと考えている方に必見の内容ですので、ぜひ本記事を参考にして役立ててください。
『しょぼい起業で生きていく』書評・レビュー
『しょぼい起業で生きていく』は、「しょぼい起業」という言葉の提唱者・えらいてんちょうこと矢内東紀氏の著書です。
えらいてんちょうさんは、現在もしょぼい起業の会長的な立ち位置で経営に携わっています。また、自身のしょぼい起業の経験を基に、コンサルタントとしても活動している方です。
「起業」というと、成功するか失敗するかの「博打打ち」のようなイメージを持たれている方も少なくありませんが、本書で語られるのはリスクを極限まで抑えた「潰れない起業」です。
オフィスを構えたり、従業員を雇ったり、借金をしたりということはありません。今できることから順番にやっていく、比較的現実的な企業の方法論です。
私自身、個人事業主として生計を立てていますが、共感する部分が多くありました。これから起業を考えている方に、一歩踏み出す力を与える、そんな一冊だと思います。
『しょぼい起業で生きていく』の要約
『しょぼい起業で生きていく』の内容を簡単に要約すると、「嫌なことはしなくて良い、普段やっていることを事業にしよう」というようにまとめられます。
スタートアップのようにイノベーションを起こすことなく、大企業のように大きな利益も追求しません。自分が生きていくために必要な収益を無理なく上げることを提唱しているのが「しょぼい起業」です。
では、そんな『しょぼい起業で生きていく』の具体的な内容を、大切なところだけかいつまんで要約します。
嫌なことはしなくて良い
実際、えらいてんちょうさんは朝起きるのが極端に苦手で、大学時代は朝起きられず授業に出られなかったそうです。そこで、会社で定時に出社して働くというのは無理だと感じて、しょぼい起業をするに至ったと語られています。
「会社を辞めたら、生きていけない」と思う方もいるかもしれません。ただ、起業をする(個人事業主になる)と、会社員とは違うルールで生きることができます。しょぼい起業は、大きく稼がなくても生きていくことのできる生き方なのです。
「しょぼい起業」の基本
具体例として、都外から都内の大学に通う学生の例が挙げられています。何もせずに都外から都内に電車で通えば、それはただの移動です。一方で、バッグに野菜を詰め込んで都内に電車で通い、そこで野菜を売れば移動は資本になります。
この学生がやることといえば、バッグに野菜を詰め込んで、野菜を買ってくれるお店に置くだけです。それ以外は、普段の生活と何ら変わりません。普段やっていることを事業にすることで、コストを相殺するどころか利益を出してしまうというのが、「しょぼい起業」の基本です。
起業に大金は必要ない
実際、えらいてんちょうさんも最初のリサイクルショップを立ち上げるときは50万円で開業したといいます。店舗を持つとなると大金が必要だと思うかもしれません。しかし、家賃10万円以下の店舗物件で、自宅を兼ねることで開業資金はかなり抑えられます。
50万円が大きな額に思える方もいるかもしれませんが、アルバイトで十分貯められる金額です。えらいてんちょうさんは、ホテルのフロント業務をしながら、リモートでできるアルバイトを同時にやっていたそうです。50万円は、工夫次第で到達可能な額でしょう。
従業員は雇わなくて良い
本書『しょぼい起業で生きていく』では、お客さんにお店を手伝ってもらう工夫として、以下のようなものが挙げられています。
- 無料でモノをあげる
- 常にお店を開けておく
- むしろ自分から手伝いにいく
無料でモノをあげることで「お返ししたい」という気持ちになったり、常にお店を開けておくことでお客さんの溜まり場になったりします。そうすると、お客さんが率先してお店の掃除を始めたり、店番をしてくれたりするそうです。
ポイントは「お客さん自ら手伝おうとしてくれる」こと。ブラック企業のように無理やり働かせるのではなく、こちらが価値を提供した見返りとして手伝いをしてもらうことが大切です。
広告宣伝費は必要ない
広告は打つのにお金もかかりますし、広告を売ったからといってお客さんが来てくれるわけではありません。しょぼい起業には、広告宣伝費を使う余裕はないということです。
いくつか無料で新規顧客を集める方法が書かれていますが、その中の一つとしてSNSを利用するということがあります。SNSは無料ですし、Twitterなどは拡散力も強いので、多くの人にリーチすることができます。
ただし、注意しなければいけないのは「宣伝をするだけのアカウントになっていないか」ということです。本書では、店舗ではなくSNSをお店にしろと表現されています。この言葉の真意は、SNSの発信自体に価値を持たせて、発信者に興味を持ってもらうということです。
宣伝をするだけのアカウントに人は集まりません。人が「面白い!」と思うような発信をして、まずはあなたに興味を持ってもらい、その後お店の存在を知るという流れが理想的です。
「しょぼい起業」の具体例
本書『しょぼい起業で生きていく』には、著者のえらいてんちょうさんが実際に携わってきた「しょぼい起業」の具体例がいくつか挙がっています。
「しょぼい起業」の具体例は、以下のとおりです。
- リサイクルショップ
- 学習熟
- 語学教室
- バー
- 喫茶店
いずれの起業にも共通しているのは、開業時に大金がかかっていないということです。潰れそうになった店を引き継いだり、居抜き物件を利用したり、投資家から融資を受けたりといった形で起業しています。
また、運営する中ではお客さんが勝手に手伝ってくれたり、勝手に宣伝してくれたりしたといったことが書かれています。ただし、これは要約でも伝えたとおり、まずは自分からお客さんに価値を与えた結果としてです。
「しょぼい起業」には、大金は必要ありません。ただし、その代わりに足で稼ぐ、愛情を持って接するということが大事だと、本書の中でも繰り返し書かれていることは強調しておかなければいけないでしょう。
「しょぼい起業」は失敗するって本当?
「しょぼい起業をやったけど失敗した!どうしてくれるんだ!」と言う人がいるそうです。
ただ、これについては書籍の中で、えらいてんちょうさん本人が「必ず成功するわけではない」と強調しています。むしろ、「潰れる前提で起業しろ」とも言っており、要するに潰れても死なないように動くことが大事です。
起業することでかけた資金以上の経験や知識が得られます。そのため、最初の起業が失敗したとしても、その後は生きていけるようになる、というのが本当に伝えたいところではないかと思います。
起業に限った話ではありませんが、物事に絶対はあり得ません。成功することもあれば、失敗することある、ただそれだけの話です。
ただ、本書で書かれている「しょぼい起業」は、起業の中では比較的リスクの少ない方法だと感じます。本書を参考に、起業に活かせるエッセンスを抽出すれば、役立てられる部分は多いでしょう。
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今回は、えらいてんちょうさん著『しょぼい起業で生きていく』の要約・書評をさせていただきました。
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