交際費には年間800万円の上限がある一方で、取引先との飲食で1人5,000円以下に抑えると、会議費に振り分けられ、上限無く損金とすることが可能です。これを利用して人数を水増しする悪知恵は、誰しもが考えるところ。ところが直近だと、積水化学工業は本件がバレて追徴課税を支払っています。なぜ会議費の不正操作はバレるのか?解説いたします。
交際費には上限があるが会議費に上限は無い
資本金1億円以下の中小企業の交際費が、年間800万円以内を上限とするところは、皆さんも御存知のとおりです。
ところが、取引先への接待や社外との人脈つくり、営業活動を行っていると、あっという間に交際費が上限に近づくという方もいることでしょう。
そのようなケースに配慮し国が定めたのが、平成18年に生まれた「会議費」の項目です。
お客様とのちょい呑みを兼ねた交流にかかる費用は5,000円以内に抑えて、会議費として処理される会社さんが多いことと思います。
無理矢理作った1人5,000円以下の領収書は最後に必ずバレる
さて、1人あたり5,000円以下に抑えれば良いという条件は、小さな会社を経営している1人社員の社長さんや、個人事業主さん(800万円の上限はないが)にとっては、少し悪知恵を働かせれば悪用できる制度だったりします。
1人焼き肉で1万円近く使ったけれど、取引先の人と二人で行ったことにして、領収書を切ってもらう。
お気にのいる1時間4,000円のキャバクラへ2時間行って、女の子のドリンク含めて合計で12,000円使ったけれど、取引先の人を連れていった体を作り、3人で行ったことにする。
過去の事例で言うと、積水化学工業が大阪国税局の税務調査で、取引先との飲食代において実際の参加人数を水増しして、会議費に該当する1人5,000円以下の領収書を提出していたのがバレました。
同社はこの会議費操作を含めて、追徴税額2億円を払うはめに…
なぜ領収書があっても、バレるのかと言うと、会議費として立証するためには、
- 飲食をした年月日の正確な記載
- 得意先や仕入先の会社名や一緒に行った人物の名前
- 飲食店の名前・所在地と払った費用
- 飲食費の他に利用したものでないと明らかにする証拠
- その他参考となるべき事項
これらの要件を全て揃えてないと、調査官に徹底的に突っ込まれるからです。
おそらく、積水ハウスの社員は、これらのことを想定せず「5,000円以下なら経費で処理できる」と単純に考えて、領収書の処理もアバウトにしていたことが予想されます。
領収書を切るのは身を切るのと同じ行為です!
どうしても忙しくてストレスが溜まると、外でちょい呑み(贅沢に)をしてみたり、キャバクラ遊びをして、その費用を会議費で支払いたくなるものですが、やった後の管理はずさんになりがち。
そこを国税局は見逃さず、バレれば最後、重加算税を課されることになります。
領収書を切るということは、稼いだお金を外に出す行為です。
もしも自分が従業員だったら、ここで堂々と領収書を切れるだろうか?という意識で、交際費や会議費の名目を慎重に取り扱うことよう心がけて下さい。