個人事業主やフリーランスの方にとって、健康管理や体力アップは欠かせない仕事の一つと言えます。ところが、これらに掛かる費用は経費として計上することが許されていません。ただしプロ野球選手やボディビルダーのような人達は、同じことをしても、費用を経費として計上することが可能です。2者をわける壁とは何なのか?税務のプロが解説してくれます。
健康管理は経営者にとって欠かせぬ仕事の一つ
個人事業者(経営者)やフリーランスにとって、自分自身の健康管理は欠かせないモノです。
病気になったりケガをして、長期間の休みを取るようなことになってしまっては、仕事にも支障をきたしてしまいます。
特に一人で仕事をしている場合には、代わりに業務をしてくれる人もいないので大変です。
普段から風邪をひかないように体力をつけたり、食事などの習慣に気をつけるコトも、大事な仕事の一つですね。
そう考えれば、
「仕事の一つ・・・というのであれば、体力アップや健康管理に係る費用は経費になるの?」
なんて思う方もいるかもしれませんが、残念ながらこれらの費用は経費に入れることは出来ません。
体力アップや健康維持の費用は経費にできない
個人事業者の中には「カラダが資本」という方もいるかもしれません。
- ▼ とび職だから重い荷物を運ぶために毎日筋トレやっています!
- ▼ 運送屋なのでトラックから玄関まで走らなきゃいけない。なので毎日ジョギングしています!
- ▼ 漁師やっているので毎日泳ぐ練習してます!
- ▼ 走る税理士なので毎日山の中を走っています!
「カラダを鍛える=仕事の能率アップ」という効果がある仕事もありますよね。(一部例外もあるようですが・・・(-_-;))
ただ、個人の体力アップや健康管理のための費用というモノは、個人事業の必要経費に入れることは出来ません。
それは「売り上げを上げるために直接要した費用」とは言えないためです。
所得税の必要経費に入れるためには要件を満たす必要があります。
- 1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
- 2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
上の要件のいずれかを満たす場合には、経費とすることが可能です。
体力アップや健康管理というモノは、「個人事業者だけではなく、普通のサラリーマンや主婦、学生だってやっているでしょ」という性質のものです。
要は個人事業者だけではなく、一般的に行われているモノ(家事費用)に該当するので、経費には出来ないんですね。
従って、次のような費用は、基本的に経費にできません。
- ▼ スポーツクラブの会費
- ▼ 健康診断や人間ドックなどの費用
- ▼ ワンダーコアなどの健康器具
- ▼ 整体やエステなどの疲れをいやすための費用
- ▼ 走った後の温泉や居酒屋での飲み食い
- ▼ 野球やサッカーなどの観戦費用
「だって毎日仕事で走っているから、普段からジョギングして鍛えないと・・・」と思う人もいるかもしれませんが、仕事で走らないのに走っている人もいますので・・・(;一_一)フゥ
仕事に直接関係するなら費用を計上してもOK
とは言っても、体力アップや健康管理に掛かる費用の経費計上が、全てがダメというわけではありません。
プロのアスリートやボディービルダーのように「明らかに体を鍛えることでメシを食っている」方たちもいるわけですよ。
そういうプロの方たちが体を鍛えるために使う費用は、経費にしていただいても全く問題ありません。
私も趣味がエクストレイルやマラソンですから、
- ▼ トレーニングのためのシューズやウェア
- ▼ トレーニングを効果的に行うための情報誌や講習会への参加費用
- ▼ プロテインやサプリ等の栄養補助食品
というようなものを購入しています。
私の場合は走ることでメシを食っているわけではないので経費にできません。
ただプロランナーの方などであれば、体を鍛えて結果を出すことでお金を稼いでいるわけです。
そういった方たちはこれらの費用を経費にしても構いません。
まぁ、自分の場合はカラダを鍛えてもメシは食えませんが、ご飯は美味しく食べることは出来ますけどね。(´・ω・`)
カラダを鍛える以外の費用も同じ考え方でOK
それでは次のような費用はどうでしょう?
- ▼ ピアノのレッスン料
- ▼ 英会話のレッスン料
- ▼ 料理学校の授業料
これらの費用も、「これでメシが食えるかどうか」で考えてみてください。
例えば、趣味でピアノを弾きたいから習った・・・ということでは経費にできません。
プロのミュージシャンがレベルアップのためにレッスンを受けたり、ピアノの先生がもっと上手に教えるためにレッスンを受けるのであれば経費にできます。
英語が話せればビジネスの幅が広がるかも?という程度では経費にできません。
仕事で通訳やガイド、ホテルでの接客をしているのであれば経費にできます。
お料理教室も難しいですね。飲食店をやっているのであればOKでしょうが、シェフがお料理教室に通っているなんてチョット微妙・・・?
ポイントは「売上げ収入に直接結びつくか」ということです。あったらいいなぁ~程度ではダメだというコトですね。
まとめ:体力UPはお金をかけずとも励めます!
たとえ経費にできなかったとしても、日々の健康管理はとても重要なことです。
それは個人事業者に限ったことではありません。
お金をかけなくても出来ることはいっぱいありますので、体力アップに励んでいきましょう!