「経営者が豪邸を持っていれば、銀行と会社の融資について話がしやすい」「自社ビル持っていると銀行から高く評価される」まことしやかに噂される“経営者と不動産の関係”について、貴方はその真実をご存知でしょうか?経営者が不動産に投資する際に注意すべき点について、キミアキ先生がズバッと解説してくれます。
起業当初の経営者は住宅ローンが組めるのか?
今日は住宅に関して「賃貸の方が良いのか?買った方が良いのか?経営者であればどちらが良いか?」という話題について、黒字企業の社長達も参考にしながらお話したいと思います。
そもそも起業したての経営者は、住宅ローンが組めるのでしょうか?
不安な方も多いでしょうが、実務では、起業当初の経営者は、銀行系の住宅ローンは殆ど通らない場合が多いです。
10年とか長く商売を続けていれば銀行系のローンも降りますが、降りたとしても、最初はフラット35という政府系のローンが精一杯なのかなと。そんな感じでございます。
あくまでも実務での話ですが、実際に商売を始めたら、住宅ローンは組めないと思った方が良いです。
ですから、サラリーマン時代にもう住宅ローンを組んで、買っておいたらいいんです。
もう遅いよ!最近起業しちゃったよ!(笑)という方がいらっしゃいましたら、しばらくの間、住宅ローンは組めないと思った方が良いです。
最初のうちは、賃貸しか選べないと割り切って、「ぬぉ〜!早く成功するぞぉ」と、仕事に精を出すのも良いんじゃないかと思いますよ。
大家さん業もやりたいなら持ち家は最後に買え
私のお客様には商売をやりながら、不動産の賃貸をやっている方も50名程度と結構いらっしゃいます。
こんな風に「大家さん業もやってみたい」という方は、賃貸用のアパートやマンション、自宅、どちらを先に買うべきなのでしょうか。
コンサルタントさんは皆こう言います。
「必ず賃貸用の家賃が入ってくる収益物件を先に買って下さい。この順番を間違えてはいけませんよ。」
みなさんこう教わると思います。
確かに、先にローンを組んで自宅を買ってしまうと、次に収益物件のアパートやマンションを買うとなった時に、もうローンがおりないんです。
ですから、「必ず先に収益物件を買って、買って、買って、買い尽くして、もう買わない!と決めてから、自宅を買ってください。」とアドバイスを受けると思います。
では、実際どれくらいまで収益物件を買っていくか?という目安について話をします。
あくまでも不動産賃貸業を専門に、大家さんとして食べていくという場合ですが、ここら辺…中野区だと最低で3億円です。
最低でも収益物件3億円分買わないと入り口に立てないです。それくらい結構な借金をしまくることになります。
不動産で収益得ようと思ったら、覚悟が必要ですね。
住居は持ち家・仕事場は賃貸が黒字社長の手法
黒字企業の経営者さん達のパターンとして、実際住まいはなんやかんやで持ち家です。
最初は賃貸だったけれど、「買えるようになったから買う事にしました」という方が非常に多いです。
ところが、仕事場はずっと賃貸だという方が多いです。
儲かっている人は、商売をする所やお金を稼ぐところは賃貸、自宅は持ち家、という感じで分ける方が多いです。
ではなぜ住まいだけは持ち家にするかというと、これは税金とか一切関係ないんですよ。
税金というよりも借金して住宅を買っておくと、いつ自分が死んでも家だけは家族に残るわけです。
社長は奥さんに言われるわけですよね。「家買えるんだったら、買ってよ!!!」って(笑)
10年位商売してるとローンが組めるようになるんですけれども、そうすると「ローン組めるなら、あんたがいつ死んでも大丈夫な様に、家買っておいてよ!!」と、こう来られるわけです。
ということで、持ち家は家族のための“一種の保険”という意味合いを持ちます。
例外的に、住まいが持ち家で、なおかつ仕事場も持ち家という場合は、建設系の方が多いです。
仕事場が会社ではなく、現場という方は自宅も会社も一緒くたです。自宅の庭にプレハブ置いている方もいますしね。
こういう例外パターンもありますが、ほとんどは「住まいは持ち家、仕事場は賃貸」のパターンになります。
自社ビル持っても会社の評価にはつながらない
それから、銀行に自社への融資を相談する時の話ですが、「持ち家だったら融資がもらいやすい」「豪邸に住んでいないと融資はもらえない」という都市伝説がありますけれど、経営者の持っている不動産と会社への融資に、そのような相関関係は全くありません。
経営者が持ち家に住んでようが賃貸に住んでようが、会社の融資とは全く別モノの話になります。
というのも会社の融資の仕組みで“スコアリング”というのがありますが、賃貸か持ち家か?なんてことは、スコアリングに載ってきません。
全く別モノですから気にしないでください。
更に、中小企業では自社ビルを所有することが「経営者として一応上がり」ということになっていて、経営者の皆さん「やっぱ最後は自社ビルだよね〜」っていう話をされます。
確かに我々もひとりの人間としては、ビル持ちはなんやかんやで結構評価しますよね。
「だってあいつはもうビル持ちじゃ〜ん」ていう感じで。
ですが、一般的に企業を評価するスコアリングや評点の話になれば、自社ビル持っているからといって、その評点が上がるということは基本的には無いです。(大きめの会社と取引するには必ず信用調査が入る。よくあるのは帝国データバンクの評点。)
私達はその評点を見る機会が多いですが、以外と自社ビル持ってて、評価下がってるところありますからね。
中小企業で優良企業とそうでない企業の分岐点と言われる、帝国データバンク評点の「50点」にいかない自社ビル持ちなんて、ゴロゴロ居るんですから。
ビルは自分で買って会社に貸せば評価が上がる
自社ビル持っているくらい立派な会社なのに、評点下がるのには理由があります。
今の融資の仕組みのスコアリングというのは、財務諸表が重いか軽いかというのが結構重要で、不動産を持ってしまうと、財務諸表自体は重くなってしまうんですね。
ですから、会社で不動産を買うというのはあまりオススメできません。
原則的に、不動産は経営者が個人で買いましょう。自宅もそうですが、ビルも自分で建てて、それを会社に貸すっていうのがベストです。
経営者が持っているビルを会社に貸せば、会社の財務諸表では「借りている」となるわけですから、賃貸しているのと一緒になって、バランスシートが軽くなるんです。
財務諸表というのは、基本的に軽ければ軽い程良いんです。
軽い方がお金を借りやすいし、利益が出た時も「こんな軽いバランスシートでこんなに利益出てるの〜!」と、銀行さんは良い評価をする感じになりますから。
税金面はあまり関係ないんです。そもそも税理士さんに頼めば、経費に入れてくれますからね。
経営者が不動産を持つことを考える時は、こういう事だけ気をつけていれば良いです。