最近雑誌などでよくみかけるタワーマンション節税ですが、国税庁が行き過ぎた節税策に監視の目を向けているようです。一般にマンションは高層階の部屋になるほど市場価格は高くなりますが、相続税評価においては、上記のとおり高層階であることによる価値は評価されず相続財産を圧縮できます。正当な使用目的や手順を踏んだ相続が認められなければ、節税が無効になる場合もあるので注意が必要です。
タワマン節税は資産圧縮に有効な節税ハック
最近雑誌などでよくみかけるタワーマンション節税、いわゆるタワマン節税ですが、いったいどのようなものなのでしょうか?
タワマン節税とは、財産評価額と市場価格(取得時価)との差額を利用した節税策です。
相続税法上、相続財産の評価は、“財産評価基本通達”というものに基づいておこなうこととされています。
財産評価基本通達でマンションを評価する場合、全体の評価額を区分所有割合で按分して、その持分の評価を行っています。
一般にマンションは高層階の部屋になるほど市場価格は高くなりますが、相続税評価においては、上記のとおり高層階であることによる価値は評価されず、ただ全体を按分するだけなので、その差額を利用して相続財産の圧縮を図ろうとするものです。
タワマン節税に国税庁が監視の目を向けている
この圧縮した差額がどのくらいになるか国税庁が調査したところ、平均値約3倍、最も乖離した圧縮差額は約7倍という結果が出ました。
例えばこの節税を行うと、タワーマンションの相続財産評価額は2,000万円なのに、市場価格は1億4,000万円というケースが出てきているようです。(これだと1億2,000万円相続財産が圧縮されたことになります)
相続税の支払は
- 相続額2,000万の場合:税率15%(基礎控除50万)・相続税支払額292.5万
- 相続額1億4,000万:税率40%(基礎控除1,700万)・相続税支払額4,920万
と4,600万円も安く済むわけです。
ところがそこに、国税庁が監視の目を向けています。
あまりにも過度な節税の場合は、国税庁長官が指示をしたもので評価するという規定があります。(これを財産評価基本通達6項といいます)
これを適用されると先ほどの例でいくと、相続財産評価額を2,000万円ではなく市場価格の1億4,000万円で評価しなさいという決定がされてしまうのです(実際に判例もいくつかございます)
使用実態がほとんどなく相続税を減税する目的が露骨であったり、判断能力のない状態となった親にタワーマンションを購入させた場合などは、いずれもタワーマンション節税は否認されています。
今後も更にタワマン節税に対する締め付けは厳しくなることが予想されます。
個別ケースで判断は全く異なるので相談は必須
節税になると思って買ったのに、あとで申告したら認められなかったのでは目もあてられません。
一概にタワマン節税がだめというわけではありませんので、取得時期や使用状況などを考慮して総合的に判断していくようです。
相続対策などで困った際は、お近くの専門家に一度内容を相談してみることをお勧めいたします。