借入の目的が前向きな理由であれ、後ろ向きな理由であれ、会社で借りたお金はいずれ返さなければなりませんが、返済金をなんとか経費として損金算入できないだろうか?と考える方がかなり多くいらっしゃいます。しかしながら、借入金は経費として計上することが認められません。経費とはなんぞや?という切り口からその理由を解説したいと思います。「出すものはなるべく少なく」が経営の大原則です。
借入金は経費として計上することができない
多くの企業経営者や個人事業主が、一度は金融機関から借入(かりいれ)を行ったことがあるはずです。
借入の目的が前向きな理由であれ、後ろ向きな理由であれ、いずれ借りたお金は返さなければなりませんが、返済金をなんとか経費として損金算入できないだろうか?と考える方はかなり多くいらっしゃいます。
しかしながら、借入金は経費として計上することが認められません。
本日はその理由について、そもそも経費とはなんぞや?という部分から、わかりやすく説明したいと思います。
借入金が経費にならぬ理由を経費の意味で知る
「売上を上げるために投資が必要だったんだから、借入金だって経費に参入できるじゃないか!」「返済でお金が出て行く分、会社のキャッシュフローが痛むのに、経費にできないなんて納得出来ない!」という感情は、お金をまっとうに返す経営者なら抱いて当たり前の話です。
理屈としても理解できなくもありません。
にも関わらず、税法上この理論は悲しいかな認められることが絶対にありません。
なぜなら所得税法上、経費とは所得金額を計算する際に、収入金額から控除される支出金額で損益計算書に計上されるものであり、更に分りやすく言えば、経費とは「売上をあげるために必要とされる直接的な費用」を指します。
それに対して借入金のお金の動き方は以下のとおりです。
- 借入時点:貸借対照表の負債が増加する
- 借入の返済時点:貸借対照表の負債が減少する
つまり借入の返済という行動は、収益の発生とは全く関係なくお金を動かすことであり、貸借対照表の「資産の増減」につながる行動であるため、経費として認められないのです。
返済利息は経費として計上することが可能
では、借入にかかる全てのお金が経費として計上できないかと言われれば、「返済利息」は経費に計上することが可能です。
返済利息は資金調達のために必要な営業活動の一環として支払いが発生したものと考えられ、経費と認めて良いことになっているからです。
とはいえ借入を起こすということは、将来会社から出て行くお金が増えることを意味しています。
売上が見込めない状態で行う安易な借入は、営業黒字でキャッシュフローが赤の黒字倒産にもつながります。
「入るお金はなるべく多く、出て行くお金はなるべく少なく」が、企業経営の大原則と言えます。