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鈴木 一彦 (すずき かずひこ)
鈴木 一彦 (すずき かずひこ)走る税理士・すずき会計代表

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法人を解散し「個人成り」を決断したほうが良い3つの局面

法人を解散し「個人成り」を決断したほうが良い3つの局面
 個人事業主が法人を設立することを「法人成り」と言います。法人成りには節税対策の幅が広がることや、社会的な信用が増すこと等、様々なメリットがあります。逆に法人の経営者が、会社を解散し「個人成り」したほうが良いケースもあります。法人であり続けることには、メリットと裏腹に社会保険負担などコストの負担が大きいからです。以下、詳しく解説していきます。

個人事業主が法人成りする4つのメリットとは

 個人で事業をされている方が、事業の規模がある程度大きくなってくると考え始めるのが「法人成り」です。

 法人成りとは、会社を設立して個人の事業を会社に移すことを言います。

 事業を法人にすることによって、
  • 1)代表者(個人事業主)の収入がお給料になるので、所得税や住民税を下げることができる。
  • 2)個人事業よりも経費の幅が広がるので節税対策ができる。
  • 3)対外的な信用度が高くなる。
  • 4)消費税の節税対策ができる。
 など様々なメリットを得ることができます。

個人成りを決断したほうが良い3つの局面

 ただ、法人にすれば全てがうまくいくわけでもありません。

 会社の運用次第によっては、個人事業の時よりも負担が大きくなってしまうこともあるのです。

 法人化のメリットよりもデメリットの方が大きくなれば、法人を続けていく意味が無くなってしまいます。

 最近は特に「法人を解散して個人事業に戻りたい」という趣旨の相談が増えてきました。

 個人事業が法人組織に変わることを「法人成り」というのに対し、法人が個人事業に組織変えすることを「個人成り」と言うそうです。

 この「個人成り」というモノ、どのような状態の時に検討されるのでしょうか。

 主に3つの局面で個人成りが検討されるようですので、詳細を解説したいと思います。

1)法人にしているメリットが無くなったとき

 まず第一の理由として考えられるのが、法人にしているメリットが無くなったときです。

 個人事業を法人にする時の目安として、幾つかのポイントが挙げられます。
  • ① 個人事業の代表の方の収入(所得)がある程度増えてきたコト
  • ② 取引先との関係で法人である必要があるコト
  • ③ 法人でなければ取得できない資格・許認可などがあるコト
 例えば上記のような理由のうち、②や③が理由となっているような場合には、法人であることが絶対条件となります。

 ただ、①が理由で法人を設立した場合、景気悪化や取引先の減少などで売上が落ちてしまった場合には、法人にしておく必要が無くなってしまいます。

 小さな会社の中には、代表者である社長がお給料をほとんど取れない場合もあります。

 このようになってしまうと、無理をして法人を続けていくメリットは無くなってしまいます。

2)消費税の負担が大きくなったとき

 個人の場合には1月から12月、法人の場合には原則として1事業年度(1年相当)の期間の消費税の対象となる売り上げが1,000万円以上となると、翌々年度からは消費税を納める事業者になります。

 逆を言えば、売上が1,000万円未満であったり、事業を開始したばかりの事業者や会社は消費税を納めなくても良いのです。

 これを「消費税の免税事業者制度」と言ったりします。

 個人が法人成りをする時、この免税制度を利用して最大2年間消費税負担を軽減することが可能となります。

 これと同じことが個人成りでも出来るのです。

 法人で消費税の負担が大きくなってしまった場合、個人に戻すことで消費税負担を軽減することが出来ます。

 もちろん、消費税負担を逃れるために会社を設立したり解散したりすると、不当に税金を逃れようとする行為とみなされて課税されてしまいます。

 ただ、何度も繰り返したりするわけでなければ基本的には大丈夫です。

 消費税の納付負担を減らすために、事業者免税点制度を使うために会社を解散する人もいるのです。

 消費税が10%に増税となる17年以降は、この理由で個人成りされる方も多くなるんじゃないでしょうか。

3)社会保険の負担が大きくなったとき

 そして、最近会社を解散したいというダントツの理由が「社会保険料の負担が大きいから」というモノです。

 社会保険とは、厚生年金や健康保険、雇用保険や労働保険などの社会保障制度の総称ですが、ここでいう社会保険とは、狭い意味での社会保険(厚生年金と健康保険)のことを指します。

 サラリーマンの方であれば、社会保険制度は個人負担と同額の負担を会社がしてくれることになっています。

 つまり、本人が負担すべき金額は半分で済むわけなので、サラリーマンにとってはとってもありがたい制度です。

 ただ裏を返せば、残りの半分は会社が負担しなければならないわけです。

 月額30万円、30歳のサラリーマンの場合、負担すべき社会保険料は月額で83,424円(神奈川県の場合)です。

 その半分を会社が負担するわけですから、月額41,712円の負担。年間にすれば約50万円の負担です。

 例えば、社長1人と従業員が3名いた場合、皆さんが同程度の給料であれば年間の会社負担は200万円にもなります。

 社会保険の加入義務は、
  • ▼法人であれば全ての事業所
  • ▼個人事業であれば原則従業員が5人以上の事業所
 ということになっています。

 更に、飲食業・理美容業などの一定の業種であれば、従業員が何人いても社会保険への加入義務はありません。

 ですので、もし従業員が5人未満であれば、法人を解散して個人事業にすることで、社会保険への加入義務は無くなるのです。

 もちろん、社会保険をやめてしまえば厚生年金は国民年金へ、健康保険は国民健康保険に切り替わり、従業員の方にとっては負担が増えてしまうこともあります。

 それでも法人の経営者としては負担すべき経費が減ることになります。

 先ほどの例で言えば、年間で200万円も経費が減るわけです。

 しかも社会保険は支払いが義務ですし、納めるべき期限も定められています。

 納期限に間に合わなければ延滞利息もとられますし、納付が滞納すれば差し押さえの対象にもなります。

 社会保険が原因で資金繰りが悪化し倒産寸前・・・という状況の会社も少なくないのです。

 正社員として採用したくても、社会保険負担が大きくて採用できない。

 非正規社員や契約社員が多い理由の一番の原因も、この社会保険の負担にあると言われています。

会社を解散する前にもう一度検討すべきこと

 消費税の税率も上がり、社会保険の料率も上がり、会社経営者にとっては益々の負担増が続きます。

 これらの負担増に対して、どのように対応していくかということも考えねばなりません。

 ただ、会社経営者の方には法人を解散しようとする前に、もう一度検討して頂きたいことがあります。
  • ▼ 今の現状で何かほかに対策を出来ることは無いか
  • ▼ 法人を残したまま、消費税や社会保険の対策をすることはできないか
 会社を解散するにもある程度のまとまった金額が必要となります。

 実際に会社を辞めてしまう手続きに入る前に、ぜひ一度ご相談にのらせて下さい!

2016年2月24日

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